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「アーサー、これどう思う ?」

回転座椅子を、足で器用に左に回した。そのまま、隣のちんちくりんのツンツン頭に話しかける。

アーサーは無言のまま、わたしが手にしていた資料を無造作に奪い取った。

「ホリデイはまだだいぶ先だが···どう思うもないな、ただの観光地だ。」

「やっぱりアーサーは連れないわね、ツマンナイ。」


卓上に投げ捨てられた資料を奪い返して、ため息をついた。

手にしているのは、シンガポールの名所を案内する文言が並んだプリント。端的に言えば、旅行を促すチラシ。

クルクルと紙を纏めつつ、わたしはディスプレイに視線を戻したアーサーに呼びかけた。


「ねえ、有給取って行こうよ。」

「喜んで、と言いたいところだが、レディ。この繁盛期に一体どこへ野暮用が ?」

「そんなの簡単よ。自分探しの旅 !」

「このバカ、行けるわけないだろ !少しは頭使えよ」


至って真面目に言ったはずが、アーサーは何やら怒ってしまった。アーサーは黒手袋のままチョップを寄越して、フンとそっぽを向いてしまった。


「大丈夫よ、部長にはお話通してマス。ニコニコ笑って承諾してくれマシタ。」

「ハァ !?俺に無許可で !」

「当然、ほら、行きたくなった ?」


得意気に笑ってみせたが、当の本人は頭を抱えてひとりの世界にトリップ。

マアいつもの事だと割り切って、彼に追い打ちをかけることにした。


「まずは三日間、近場って決めたのよ」

「フランスに行こう !」

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