佳寿葉ちゃんを最近虐待しすぎてるような気もしてきました。楽しいです。
ちょっとホラー注意よ
赤い。空が、赤い。ここに来る前は綺麗な青空だった。おかしい、明らかに。やっぱりここは、もう私の知る『三ツ目の散歩道』じゃない。そもそもこの世界が、私の知っている世界じゃない。だっておかしいのは空だけじゃない。ぬるま湯のような風も、鳴り響く蝉の音も、風に乗って香る微かな土の匂いも、私の知ってる春じゃない。夏の方が近しい。春にはこんなもの有り得るわけが無い。本当は今すぐにでも振り返って、帰ったっていいぐらいだ。怖い。全部おかしい。おかしいのは世界だけじゃない、私もだ。手の甲の痒みが止まらない。おかしいなぁ。こんなのおかしいなぁ。
くちゅ
……くちゅ?くちゅって何の音?何かが潰れたみたいな音、下から。
わたしの、足元から?
足を、退けてみる。
潰れた、目玉。
「……なにこれ……」
道には水玉模様みたいに目玉が埋められてる。しかも、まだ生きてるみたいにぎょろぎょろ動いてる。目玉は黒目をとんでもない方向に向けていた。潰れたところから、ドロドロ血液が滲み出ていた。少しづつ私の方向に流れてきて、スニーカーを汚していく。目玉を潰した感覚と、目の前に広がる惨状。衝撃で覚悟をしてたはずの私の体が硬直している。
これを進まなきゃ行けないの?あの感覚を体感しながら進む。それに体が生理的拒否反応を起こしてる。……そう、なの?本当に?きっとこれだけが原因じゃない。感覚だけなら慣れる事ができるし、私はそれが出来るはず。じゃあなんであんなに嫌な感覚がしたのか。
もう一度、試してみる価値はある。この目玉達には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。だが、私も私なりのやり方があるのだ。許してくれとは言わない、だけど。私の家族に、危害は加えないでね。
ぐちゅ
目玉を踏み潰した瞬間に微かに聞こえた、少年のような不快な声。
「許して」
この声だ。よく分からないけど、この声が不快にさせてくるのだ。全く理解できない。けど進まなきゃ行けない。幸い先程の触手と違い、外から聞こえてくる声のようだ。耳を塞げば、おそらく問題ない。道にはびっしりと目玉が敷きつめられている。
「ごめんなさい。あなた達を傷つける真似をして。」
耳を塞いで、歩き出す。
ぐちゅぐちゅと感覚がする。
歩き切った。耳を塞いでいると、なんて言っているかは分からなかった。それでも罪悪感は拭えない。まだまだ終わりは見えない。
「行かなきゃ。道はまだ終わらない。」
微かに『頑張れ』と先程の不快だったはずの少年の声が聞こえた。
「うん、頑張るよ。」
右手の甲は、未だに痒みを増している。
ちなみに目玉はある妖が仕掛けたわなであり、潰された時の不快感は全部仕掛けた妖自身が受ける仕組みです。佳寿葉が潰した60個あまりの目玉の不快感を全て引き受けてます。
地獄ですね。
コメント
27件
ピエッ… こわいて… なんで普通に進めるん…??
今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!! あら…それは嫌ね…可哀想な目玉達、 でも、もしかしたら罪人の目玉かもだから まだ可哀想しか思わないでおこう(?) きっと頑張れが背中を押してくれそう… 目玉60個分の不快感を引き受けたから 一話か二話の最後に少し五月蝿かった 人が発狂してるっぽく聞こえたのかな? いや…別の人だったりするかも?(?) 次回も楽しみに待ってるね!!!!
ヒェッ…………めっちゃ鳥肌すぎる、最後の怖くて書きたいことまとまらん