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白山小梅
白山小梅
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高校の頃、学年が上がって、クラス替えがあっても、柊と同じクラスになることは無かった。
8分の1の確率を二回した。8分の1って、コインを三回投げて全部表になる確率と同じらしい。それくらいの確率さえも、柊と重なることは無かった。
2年生になっても、友達作りが下手っぴなまま。でも、その都度柊に吐き出していたおかげか、たったひと握りだけど、気の合う友人も出来た。
『あーあ、俺だけの柴崎だったのに』
それを自慢すると、ぼっちのわたしを貶したのか、柊が嫌味ったらしく言うのだから、思わず腕を抓った。
つまらない学校生活が少しだけ楽になった。
何年生になっても、相変わらず屋上へ行くことが日課になっていたあたしだけど、たまに行かなければ良かったと後悔したことがある。
:
◇
『やだ、やめてよ』
『じゃあさっさと退いて?重いんですけど』
よく晴れた日、屋上に行けば、柊が” だれか “に跨がられて、ボディタッチをされているのを目にしたのだ。
誰か、ではなく、学年でも可愛いって有名の女の子だった。
その子は、いつからこの屋上に立ち入るのを許されて居たのだろう。
私だけが特別だと思い込んでいたけれど、それは全くの思い違いで、あたし以外にも立ち入り禁止を越えた人はいる。
『ねえ、アオ。うちら付き合わない?』
流れるように聞こえた、可愛いあの子にお似合いな、可愛い声。
そんなに近い場所にいるのだから、耳元で、掠める程度のボリュームで言えばいいのに、わざわざあたしに聞こえる音量だった。
──『ごめん。好きな子いるから無理』
でも、柊はあっさりとその告白を断っていた。
ふーん、柊、好きな子居るんだ。
その子と入れ替わるみたいに屋上への入口を潜ると、柊はいつもの気怠い様子で、スマホの動画を見ていた。「何見てるの?」と訊ねると「えーぶい」と平然と言うから、聞くんじゃなかったと思った。
爽やかな青空の下、朝と夜の狭間みたいな儚いアイスブルーの瞳でなんて卑猥なものを見てるんだ。
柊はあたしがドン引きしているのを気づいたのか、ニヤリとほくそ笑んで「観る?」なんて画面を見せてくるから、聞くんじゃなかったを再確認した。
『柊、好きな子いるの?』
『勝手に聞くなよ、変態。凶暴なうえに変態ってなかなかハードル高いよ』
『はあ?酷すぎ。彼女作らない主義だと思ってたけど、好きな子は作るんだね?』
『俺もこう見えて、普通の男子高校生なんですよ』
普通の男子高校生っていう感覚は、もちろん、普通の女子高生に分からない。でも、あたしはなんとか気持ちを落ち着かせて、吐き出した。
『上手くいけばいいね』
心にも無いココロを、吐き出した。
あの時、柊はなんと答えただろう。もう、思い出せない。