淡路島の戦場は、静寂の後、白川を中心に動き始めていた。琥珀との激戦が一段落し、呪術師たちの間にはわずかな休息の時間が訪れていた。しかし、その沈黙はすぐに崩れる。白川の体から異様な呪力が放出され、空気が震え始めた。
透がその異変に気づき、眉をひそめて言う。
「…白川、どうした?その呪力は一体…?」
白川は無言のまま、周囲に漂う呪力を操るように手をかざし、ゆっくりと目を閉じた。彼の体内から溢れ出す力はこれまでのどの瞬間よりも強大で、すべてを圧倒するような存在感を持っていた。
白川の目が開かれると同時に、その瞳には新たな輝きが宿っていた。彼が静かに呟く。
「…ついに、この力に辿り着いたか。『無限拡散』を超えた、真の異能…」
その瞬間、彼の周囲に無数の光の粒子が浮かび上がり、全方向に広がっていった。これまでの異能とは異なる、極めて精密で破壊力のある呪力の波動が大地を揺るがす。
「これが俺の最高異能、『天壌無窮』だ。」
白川は微笑み、透や朱音、神風を見渡した。その表情はこれまで以上に冷酷で、敵味方の区別を超越した存在のようだった。
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