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10年が過ぎた。

出所の日は、まるで何事もなかったかのように、無機質で冷たいものでしかなかった。監獄の扉が開かれ、俺はその先に待っている世界へと踏み出した。外の空気は、少し冷たく感じたが、それでもなぜか懐かしさがあった。まるで時が止まったように感じる一方で、外の世界は何も変わらず、むしろ何もかもが変わっていた。

「10年も経ったんだな…」

その一言が口からこぼれた。俺が最後に外に出たとき、あの事件がすべてを支配していた。しかし今、10年という歳月が流れ、世の中は完全に新しい世界を作り上げていた。SNSは今や昔のものとなり、次々と新しいプラットフォームが登場していた。

皇様の名前も、遠い記憶の中に沈んでいた。かつてファンだった者も、今は新たなアイドルに夢中になり、皇様の死後もその記憶は薄れていった。

「お前、どうすんだ?」

出所してから、最初に出会ったのは刑務所時代に知り合った元囚人だった。名前は松村。彼も俺と同じように出所したばかりだが、あの頃からずっと顔を合わせていた。松村は俺を見て一言言った。

「どうすんだ、お前は?普通に生きる気になんのか?」

俺はしばらく黙っていた。答える言葉が見つからなかった。

「別に。やることなんてねえよ。」

松村は笑った。「そんなこと言うなよ、少しは希望を持てよな。」

俺は冷たく笑った。

「希望か。そんなもん、いらねえよ。」

なんでお前が推しなんだよ

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