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15 - 第14話 紡ぐ絆

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2025年06月07日

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第14話 紡ぐ絆
「梨柚っ!」

梨柚が振り返ると、そこには息を切らした澪那が立っていた。澪那の目には、うっすらと涙が光っている。

「いいよ、梨柚。行こう」

栲は梨柚の手を引いて行こうとした。でも、梨柚は動かない。

「ごめんね、栲。せっかく誘ってくれたのに。でも、私、澪那と話したい」

梨柚は真っ直ぐな目で栲を見つめた。その目から梨柚の気持ちを悟ったのか、栲は

「分かった。後で連絡する」

そう言って手を振り、人混みへ消えていった。

「あの、梨柚、私…..!」

澪那は震える手を白くなるほど握りしめ、声を絞り出した。

「分かってる。言いたいことは、分かってるから。……ちょっと移動しよう?」

そう言って、梨柚は澪那の手を引き、屋台のある場所から少し離れた川沿いのベンチに座った。そして、ぽつりと言った。

「澪那、私ね。澪那のこと、もう親友じゃないって思ったこと、一回もないよ」

その言葉に、澪那は顔を上げた。

「澪那は、裏切ったから親友じゃない、とか思ってそうだけど。私は思ったことない。ずっと、澪那と話したかった」

梨柚の目にも、涙が滲んでいく。

「ごめんね、ごめんね、梨柚…..っ!」

梨柚は、泣きじゃくる澪那の手をそっと握りしめた。もう親友が離れていかないように、ぎゅっと。

「まだ、親友でいてくれる?」

澪那は頷いた。

「うん、親友で、いたい」


2人を包み込む夜空の奥で、花火が散る音がした。

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