まるで魔法が解けたように、気持ちが萎んでいく。お店のドアから後ずさりをしながらも、視線は店内の二人に釘付けになっていた。
なんて惨めなんだろう、なんて馬鹿なんだろう。
会いたいの一心で、連絡もせずに来るからこうなるんだ。彼女でもないのに。ここに来なければ、もっと夢を見ていられたのに。
「……帰ろ」
もうこれ以上あの二人を見ていたくない。お店に背を向けた時、大通りからこちらに歩いてくる男の人と目があった。
……なんだか、見覚えが。
「……片桐さん?」
「芥、さん?」
この前出会ったばかりの芥さんが、私の存在に気が付き立ち止まった。
そして口角を上げ、店を指差す。
「飯食いに来たのか?アイツ喜ぶぞ」
「……そんなんじゃないんです」
「そんなんじゃない?」
「とにかく、今日は急に用事ができてしまったので帰ります」
「あ、おいっ」
今の精神状態の私は、普通に振る舞うな********************
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