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「きゃっ!?」


私が咄嗟に腕で頭や顔をガードしたことで箱は腕に当たって地面に落ちる。


男の人はそれを見届けると、無言で走り去って行った。


「……痛……。何なのよ、一体……」


地面に落ちたそれを拾い上げてみると、その箱はケーキの入った箱で、【Patisserie KURUSU】と印字されている。


「これ……うちのケーキ……?」


そう呟いたとき、騒ぎに気付いたらしい父が店の中から外へ出て来る。


「侑那、何かあったのか?」

「え!? あ、ううん、大丈夫! ちょっと、大きな虫が飛んで来てびっくりしちゃって!」


私は咄嗟にケーキの箱を隠して誤魔化した。


「そうか。何も無いなら良かったよ」

「うん、ごめんね、驚かせて。あ、私お店の外の掃除するね!」

「ああ、頼むよ」


私に何も無いと分かった父は安心した様子で店の中へ戻って行き、私はそんな父に気づかれないようケーキの箱を持ちながらお店に入り、袋にそれを入れて掃除用具を手にした。


そして、こっそりショーケースを覗いてみると、ショートケーキが四つほど、売れていることが分かった。


久しぶりのお客さんが来て、買って貰えたケーキ。


でも、それは食べる為なんかじゃなくて、嫌がらせでお店の周りに捨てる為。


私にぶつけられたケーキこそが今日売れたケーキだと分かったから胸が凄く痛んだし、こんなこと、絶対父には知られたくないって思った。


夜、家事を終えて自室へ戻った私はベッドに倒れ込んで一息つく。


(一体……どうしてあんな嫌がらせを……)


突然始まった嫌がらせについて考えてみたけど、思い当たる原因は見当たらない。


だけど、考えてもみれば、嫌がらせが始まったのは上澤家を去ってから。


(もしかして……これは上澤家の……巴さんの、仕業なの?)


思い返せば、私は巴さんに偉そうな態度ばかり取っていた。


メイドとして働いていた時はそれでやっていけたかもしれないけれど、財閥の子息にあんな態度を取って辞めた私を、巴さんは許さないつもりなのかもしれない。


だけど……、


「こんなやり方……巴さんが命じるとは思えない……」


あんな嫌がらせを命じるような人間では無いと思うし、いくら何でも巴さんがそれをしているだなんて考えたくもない。


「……とにかく、これ以上何かされないよう、誰が黒幕なのかを突き止めなきゃ……」


私みたいな一般人にそれを探る術があるのかは分からないけれど、何もしないでされるがままなんて耐えられない。


何が理由なのか、こんな酷いことをするのは誰なのか、私は必死に原因を探ろうとSNSなどで情報を探ってみる。


その時、お店のSNSアカウントに一通のダイレクトメールが届いていて、また悪戯かと思いつつもそれを開いてみると、


「あ……」


それはある人物からのものだった。

愛を知らない御曹司は専属メイドにご執心

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