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「We are SixTONES!!!!!!」の世界線


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Side 赤


俺が北斗にパスを送ると、しっかりキャッチしてゴール下の樹に渡す。

いざシュートしようとしたが、大我と慎太郎に阻まれてあえなく高地にボールを奪われた。

今は3対3で試合をしている。車いすバスケのチームに所属している俺ら6人は、いつもの練習中だ。

「ジェシー!」

ボールを奪還した樹が、移動した俺に放ってくる。

今だ。

相手のブロックをかわし、腕を伸ばしてシュートした。車いすの片輪が浮く感覚がある。

コート外のスタッフ陣から拍手が湧き起こって、俺は嬉しくなる。樹と北斗と、ハイタッチを交わした。

「ちょっと休憩しよう。俺疲れたー」

慎太郎が声を上げる。それで、やや張り詰めていた全体の空気が弛緩した。

みんなで控え室に戻り、各々休む体勢になった。

と、ドアが開いてマネージャーさんが入ってくる。「みなさん、お知らせがあるんですけど…」

ベンチに寝転がっている樹が、首だけ動かした。

「全国大会出場、決まりました」

俺らは顔を見合わせる。その後、歓声を上げた。

「マジで?」

「やったじゃん!」

「やっとだな」

この間の地方の大会を勝ち抜いた俺らは、確かにめきめきと実力をつけていた。大我が加わってから特に。

喜びを隠せないキャプテンと副キャプテンが、不格好な体勢で抱き合っている。

「よかったな、樹」

「北斗のおかげだよ。みんなもありがとな。全員が頑張ってくれたからだしな」

まだ勝ったわけじゃねぇよ、と高地は鋭い一言。

「油断禁物。こっからが勝負だ」

樹は力強くうなずく。

「ねえ、今日さ、たまにはみんなでメシ行こうよ!」

俺の提案に、慎太郎が目を輝かせる。「おう、それいいな!」

だけど、と大我は北斗に目を向ける。「北斗、車大丈夫?」

「近距離なら行けるよ」

最近、だんだんと北斗は車に乗れる距離が長くなってきた。車両事故で脊髄を損傷して、大我と樹とも原因は同じだけど彼は大きなトラウマになってしまっていたんだ。

その進歩に、みんなも喜んでいる。

「よし、じゃあ今日の夜にしよう」

半ば強引にメンバーのスケジュールを押さえ、店も予約した。車いすで移動する人が4人だから、行ける場所をしっかり選ばないといけない。

「っしゃ、最後にもう一試合するか」

高地の声で、更衣室を出た。

今度は組み合わせを変えて、ゲーム開始。

いつものように試合を繰り広げていると、ふいに近くで「ガン」と鈍く大きい音がする。

見れば、大我と慎太郎の車いすがぶつかって横倒しになっていた。

「きょもごめん! 大丈夫?」

慎太郎は両腕を使ってすぐに立て直したけど、大我は起き上がれないでいる。もしかしたら、転倒は初めてだったかも。

「慎太郎…助けてっ」

俺と慎太郎は義足だ。でも、装着するには時間がかかる。俺らはスタッフさんを呼び、起こしてもらう。

「大丈夫か、頭打ってない?」

すぐ樹が漕いで寄る。

「うん。何ともない」

「慎太郎は?」

大丈夫だよ、と笑いかけた。慎太郎や俺ら4人はこんな荒いプレーも何回か経験があるけど、大我が少し心配だ。その表情が沈んでいる気がする。

「大我。厳しいようだけど、慣れだよ」

高地が、ぽんと肩を叩く。大我は最年長を見る。

「みんなもこういうことはある。本番の試合中だって。気負いすることはない」

大我は微笑みを取り戻し、試合に戻った。

今度は俺のチームは負けちゃったけど、たくさん汗を流して今日も気持ちがいい。

「お疲れ様。じゃ、メシとするか!」

快活なキャプテンの声に続き、俺らは体育館を後にした。


続く


Happy Birthday Juri!!!!!!

6つの原石、それぞれの音色

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