14話目もよろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
今回は帰宅後のそれぞれのお話です。
【レトルト視点】
部屋の鍵を閉めて、電気もつけずにそのままベッドに倒れ込んだ。
暗がりの中、胸元にはふわふわのカニのぬいぐるみ。
「……はぁぁ……」
顔を埋めるようにして抱きしめると、
キヨくんの匂いがしたような、しないような――
それだけでまた心臓がドクンと鳴る。
(……なんでやろ、まだドキドキしてる)
さっきのことを思い出す。
雑貨屋のガラス越しで見た、笑ってるキヨくん。
ベンチで手を繋いだときの、あったかい感触。
そして、ぬいぐるみを渡してくれたときの、あの優しい笑顔。
(……なんなん、あれ。反則や……)
クッションを枕にして横になりながら、カニをぎゅっと抱いて頬を寄せた。
「……こんなんされたら、好きが止まらへん……」
言葉にしてしまってから、自分で赤面する。
「……あかん……また会いたくなるやん……」
目を閉じると、頭の中で何度も、
「また会えますか?」と聞いたときのキヨくんの顔が浮かんできた。
(……会いたい)
怖くても、ビビりでも、また……ちゃんと会いたい。
心の中でそう決めながら、レトルトはカニを抱きしめて、ベッドに沈んだ。
【キヨ視点】
部屋のドアを閉めて、靴を脱ぎ捨てて、そのままソファに倒れ込んだ。
「……っはぁ~~~……」
天井を見つめながら、何度も深呼吸する。
体はくたびれてるはずなのに、気持ちは浮かんだまま。
(……ほんとに、レトさんだったな……)
夢みたいだった。
ふらっと立ち寄った雑貨屋 で突然名前を呼ばれて、
振り返ったら、そこにレトさんがいた。
AIアプリの画面の中じゃなくて――
ちゃんと温度のある、声の震えた、レトさをが。
「……可愛かったなぁ……」
そう呟くと、自分でも信じられないくらい顔がにやけた。
ベンチでそっと繋いだ手。あったかかった。
別れ際のあの、恥ずかしそうな顔。天使みたいだった。
(……俺のこと、ちゃんと見ててくれてたんだ)
手に残ったぬくもりを思い出して、そっと自分の手を握ってみる。
「……レトさん……また、会えるよな……?」
レトさんが以前好きだと言っていたカニのぬいぐるみ。
渡した瞬間の、レトさんの目――
嬉しそうで、恥ずかしそうで、涙こぼれそうなくらい喜んでくれてた。
「……あぁ、早く会いたい……」
深く息を吐いてから、スマホを手に取る。
でも、画面は開かずにそのまま胸の上に置いた。
「もうちょっとだけ……余韻に浸らせて」
そして、ソファの上で目を閉じた。
2人の運命が重なった日。
お互い余韻に浸りながら深い眠りについた。
つづく