テラーノベル
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💙「……誰だよ。ハートの8止めてる奴…」
俺が睨むと、照は慌てて首を振った。
食事を済ませてから、食堂で7並べをしている。ビリには古典的だが間違いのないデコピンという罰ゲーム付き。
俺は手札がぱたりと減らなくなっている。ハートの列の後半に手札が集中しているからだ。
見た感じ……俺が一番負けてるっぽい。
🖤「よし。俺、これで上がり!!」
めめが嬉しそうに宣言すると、既に一足先に上がっているラウールとハイタッチをした。
しかも、ハートの8じゃなかった…。
💛「俺も上がりです、ごめんなさい…」
照が申し訳なさそうに、俺を見る。
心底心苦しそうだ。
こちらこそ申し訳ない、俺が圧をかけすぎたか。
🩷「じゃあ俺はコレ」
佐久間は、スペードの列を完成させると、ニマニマ笑っている。
💙「パス2」
🩷「翔子ちゃん、全然出せないじゃ〜ん」
もはや一騎打ち。
てか、佐久間がハートの8を持っていることは確定した。ギリギリまで引っ張ってるせいで、佐久間もビリ2じゃねぇか。
🩷「んじゃコレね」
念願のハートの8が出て、パスは免れたものの、残りの手札の差であっさり佐久間に負けた。
💙「くっ………」
🩷「はい。翔子、おでこ出して」
💙「うう…。ハイ」
バチンッッ!!!!!
💙「いてっ!!!!」
目から火花が出たかと思った。
それくらい強い衝撃で、佐久間のデコピンを食らう。俺は思わず涙目になっていた。
💛「翔子先輩、大丈夫ですか?」
照が心配そうに俺の顔を覗き込む。
💙「いやへーき、へーき。照もイイよ?」
目を瞑って照におでこを差し出すと、弾かれてるとはとても言えないような、優しいデコピンを受けた。
💙「え、終わり?」
💛「………っ。次はラウ、どうぞ」
🤍「あ、うん」
ぱちん。
これも優しい。拍子抜けして、流石にこれじゃ罰ゲームにならないよと言いかけたところで、視界が急に真っ暗になった。
ちゅっ。
💛「おおおい!目黒っ!」
🤍「めめっ!?」
2人の声が折り重なるように耳に届いたかと思うと、額がかぁっと熱くなった。
めめに、おでこにキスされた。
佐久間は舌打ちして、横を向いた。
🩷「あーあ、興醒め。つまんない!」
💙「……めめ?」
🖤「佐久間先輩が痛くするから、俺は優しくしてみました」
めめはちっとも悪びれてない。俺に向かってウインク付きで微笑んだ。 一体なんだってんだ。いきなりのことでどきどきする。てか、今俺、絶対、顔、赤くなってる。
💙「あーもう!やめろよ!ドキッとするだろ!!」
俺がたまらず声を張り上げると、めめは笑っている。何となくみんなも笑って、その場の空気が緩んだ。佐久間は本気でつまらなそうに席を立つと、首を振って、部屋に戻って行く。 それが合図のようにその場は解散になった。 ラウとめめもいなくなり、 その場には俺と照だけが残された。
💙「……俺も寝るかな。おやすみ、照」
💛「待って」
💙「?」
💛「寝る前に、俺もぎゅってしていいですか?」
💙「は?」
照は、いつになく真剣な顔をして俺の腕を優しく引くと、その鍛えた胸に俺の身体を引き寄せた。どくんどくんと大きな心臓の音が聞こえる。わけのわからんまま、照に抱かれ、俺もどきどきしてきた。背中に回された腕の感触が伝わってくる。
💛「先輩、いい匂い…」
💙「ふっ、風呂入ったからだろ?」
💛「ん………」
……どれだけそうしていただろう。
変な気分になりそうになったので、俺は照の胸を押した。分厚い胸板が男らしくて、力じゃ敵わない。照は力を抜き、ゆっくりと俺を離した。
💛「ご、ごめんなさい。なんか、目黒と先輩見てたらイライラしちゃって」
💙「あーうん。……気にするな。別にあれも遊びの延長だからさ。めめにも深い意味はないだろ」
なぜだか後ろめたい気分になって、意味不明のフォローを入れると、照はくしゃっとした笑顔で笑ってみせた。
💛「元気出ました。じゃ、おやすみなさい翔子さん」
💙「お、おう…。おやすみ」
立ち去って行く照の背中を見ながら、肩を揉む。なんか、最後の方はみんなヘンだったけど、俺の気のせいだよな。
時計を見ると、夜の22時過ぎ。
ふいに携帯が鳴った。
💙「ん?」
部屋に戻りながら、電話に出ると、ぼそぼそと喋るチャラ男の声に耳を疑う。やたら低音で、吐息混じりなのが気持ち悪い。
💙「…なんだよ深澤。用があるなら会いに来ればいいだろ」
💜『電話だからいいんじゃん…。それにもう、俺寝てるし』
今日はやけに早いな。深澤の部屋は結構遅くまで電気が点いてるイメージだった。俺は部屋にたどり着くと、用件を促した。
💜『別に用はねぇけどさ……翔子もベッド入れよ。一緒に寝ようぜ?』
💙「は?寝るなら電話切るぞ」
💜『何でだよ』
深澤の声が急にクリアに不機嫌になった。
意味がわからない。
💙「切るぞ、用がないなら」
言いながら俺も横になる。もう結構眠かった。もともとたくさん寝ないと身体がもたないたちなのだ。スマホを枕元に置いて、スピーカーに切り替える。
💜『…俺が添い寝してやるよ…』
囁くように深澤が言う。
気持ち悪いので即、電話を切った。
廊下の方でうおおおいっっっ!?と、叫ぶ声が反響した気がしたが、俺は無視してさっさと目を閉じた。
コメント
8件
ふっかさんの夜電話はしょっぴーには通用しないみたいだね😂😂💜💙
お待たせしてます🙇 連載ひとつずつ、片付けていきます。昨日、久々にこの話読み返したら続き書きたくなりました。設定読み返したらまあまあ忘れてた🤣🤣🤣 応援コメントまってまぁす💙