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嘔吐表現あります。
ご注意ください。
(深澤視点)
夢を見てる。
顔の見えない誰かに触れられて、撫でられる夢。
よく分からないけど、それがなんか心地よくて…
このまんま消えてもいいなって思えるくらいで。
俺はここにいていいのかな?なんて思っちゃう。
「あ…れ…?」
元々視界は暗かったけど、さらに暗く歪んでいく。
頭の中にノイズが鳴り響き始める。
『痛い…』
『苦しい…』
『辛いのに…』
『いつまでこんなこと…』
『誰も見てくれないの?』
『認めて欲しい…』
『俺だけを見ててよ…!!』
あぁ、これは全部俺の声。
まだ残ってたんだ。
こんな感情、捨てたはずなのに…
いらない。
こんなの全部いらない。
邪魔だから、消えてよ…
「……」
目が覚めたら、いつもの天井が視界に映る。
時計は、15:29
まだ、撫でられた感触が残ってる。
すごい心地よかったはずなのに…
「うぇ…」
気持ち悪い…
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……
「う゛…カハッ、おぇ..ハァ、ハァ」
今日はずっと何も食べてないから、吐き出しても出るのは胃酸だけ。
吐き気が止まらない。
全部が、嫌になってくる。
鏡に映る俺を見る。
誰なんだ、お前は…
俺って、なんだっけ…?
「う゛ぇっ…」
もう、何も考えたくない…..
「照!こっちこっち!」
「ん。」
とある飲食店で、岩本と阿部が2人きりでいた。
なぜ2人でいるかというと…
「最近さ、ふっかに変わったとこない?」
阿部が先に口を開く。
「やっぱ阿部も気づいた?」
「うん。なんか、大丈夫なのか心配でさ。」
2人はここ最近の深澤の異変に気づいていた。
何かあったのではないか心配になった阿部が、1番深澤と一緒にいる岩本を呼び出したのだ。
「あいつ、無理してる。」
岩本が率直に感じていたことを言う。
「顔色も悪いよね。みんなには隠してるんだろうけど、そろそろヤバそう。」
阿部も最近の深澤に感じたことを話す。
阿部、岩本以外のメンバーはまだ気づいていないようだが…
「意外と康二とかは敏感だしね。あと、佐久間。」
「みんな観察力高いからね。」
バレるのは時間の問題だろう。
2人で情報共有していると、そこに1羽の烏が飛んでくる。
〖カァ!カァ!〗
「うわっ!烏!?」
烏は2人の座っていたテーブルの上にとまる。
必死に羽を広げ鳴く。
「え?何?餌欲しいの?」
烏が餌を欲しがっていると思う2人は
「ごめんね。君にあげられるものは頼んでないんだ。」
烏に申し訳なそうに言って、席を立つ。
「照、今日はありがとね。」
「またなんかあったら連絡するね。」
〖カァ!カァ!!〗
店から出ようとする2人を必死に引き留めようとするが、”大烏”は今はただの烏。
2人に何かを伝えることもできずに、2人は帰ってしまった。
(阿部視点)
帰り道。
照と一緒に歩いていてさっき感じた違和感について話すかどうか迷った。
俺の勘違いかもしれないし…
話した方がいいのかも分からない。
「…..照。」
話さない後悔よりも、話す後悔。
実際、話したとこで何かが失敗する訳でもない。
「ん?」
少し先を歩いていた照が振り返る。
「さっきの、烏なんだけどさ…」
「うん。さっきの烏が?」
照は俺のところに戻ってきて、話を聞いてくれる。
「なんかさ、普通の烏じゃない気がして…」
俺が違和感を持ったのは、烏。
なにか、伝えようとしてた気がする。
しかも、かなり大事なことを。
「俺らになにかアピールみたいなのしてたよね?あれって、俺らに伝えたいことがあったんじゃないかな?」
あの烏。
見た目は普通の烏なのに、俺らを攻撃しないし、やけに目が合う。
羽を広げてるのは威嚇じゃない気がした。
「…たしかに。あの烏、見た事あるかもしれない…」
照も同じような違和感を持っていたらしくて、少し安心した。
でも…
「すんごい大事なことだったら、まずいんじゃない…?」
俺と照は、あくまでこれが仮説かもしれないのに、あの烏に触れなかったことに後悔している。
ものすごく、嫌な予感がした。
「なぁ、めめー!話聞いてやー!」
今日もRoyal cafeは騒がしい。
最近の向井は積極的に目黒と絡むようにしている。
ラウールも向井が途中で話に入ってきても優しく受け入れてくれる。
「あはは、こーじ積極的だねぇ…」
それを見て微笑む深澤。
「…?」
向井はそんな深澤に違和感を覚える。
すぐに目黒とラウールの会話を中断させて深澤の元へ行く。
「…え?何…?」
向井がこっちに近づいていることに気づいた深澤は思わず後ずさる。
どんどん近くに来る向井。
そんな向井に恐怖すら覚える深澤。
「ふっかさん、なんか顔色悪ない?大丈夫?」
そんな深澤の内心なんて知らない向井は心配そうに深澤に問いかける。
「…っ、だ、大丈夫だからっ!!」
思わず大きな声を出して向井を突き放す。
「どした?」
「なんかおっきい声したけど…」
その声でメンバーは各々の行動をやめて近づいてくる。
「いや、なんも…」
深澤が”いつも通りの笑顔”で告げる。
「…..ふっか。」
岩本が痺れを切らしたかのように、怒り混じりの声で名前を呼ぶ。
阿部も険しい顔で深澤を見つめる。
「え?なになに?別になんも無いよー。おっきい声出してごめんね。びっくりしちゃったよね。俺は全然だいじょーぶ!」
そんな空気を消すように、深澤が声のトーンを高くしてつとめて明るく言う。
だが、重い空気は消えない。
「ふっかさん。無理、してる?」
ラウールが言いづらそうに聞く。
「お前、めっちゃ顔色悪いぞ!」
渡辺も深澤の顔色を指摘する。
「何かあったんですか?」
目黒も心配そうに深澤を見る。
「….そんな、こと…全っ然…..っないって…..!」
深澤の笑顔が引きつっていく。
「限界なんだろ。」
岩本がとどめかのように、はっきりと言う。
「…..ぁ…..」
深澤の思考が止まる。
笑顔なんて消え、硬直する。
「ふっか?大丈夫?」
「なんかあったのか?」
宮舘、佐久間も深澤の異変に気づき心配する。
「……て…..」
深澤は、震える小さい声で何かを言っている。
「え?」
もう一度聞こうとすると、
「やめてよ…..!!」
泣きそうな顔で、耳を塞いでその場に崩れ落ちた。
「ふっか!」
岩本が深澤に近づこうとした瞬間、
カランカランッ
カフェの扉が開いた。