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逮捕されたけどすぐ釈放された。証拠不十分。
あの時の血と痛みを思い出す。ファンたちにナイフで刺されたあの夜、3年が経った。逮捕されたのは、あのファンたちの証言がきっかけだった。けれど、証拠は何一つ見つからなかった。
俺が無実だと言って、あの時の事件は証明できない。指紋も、DNAも、決定的な証拠はなかった。俺のアカウントが暴かれたことは、確かにあったけれど、どうにもならない。結局、警察は俺を釈放せざるを得なかった。
だけど、あのファンたちはどうだろう。彼らは俺を刺して、あの夜を忘れていなかった。ファンの一人が捕まったとき、俺は少しだけホッとした。それでも、他の連中は相変わらずリプ欄で荒らし続けている。彼らの顔を見ても、何も感じない。全ては過去の出来事であり、俺の中ではもうその痛みも薄れてきたと思っていた。
「でも、今でも、俺の中には何かが残っている。」
それは、無意識に、今でも残っている。あの痛み、恐怖、そして疑念。それらはまだ僕の中でぐるぐると回り続けている。
新しいVtuberたちが、次々と登場している。
もう、あの皇様の時代は過ぎ去った。俺の推しだった彼女は、今や記憶の中の存在になり、代わりに次々と新しいVtuberが現れ、ファンの心を掴んでいった。新しい顔、若い顔、そして彼らの配信が人気を集めている。
「蛆のように湧いてる」
この言葉が、今、最もぴったり来る。Vtuber界の新しい顔たちは、まるで無数の虫のように湧いて出て、瞬く間に注目を集め、次々と消えていく。その中に本当に価値のあるものがどれだけあるのか、もう誰にも分からない。
俺の中で、皇様の思い出はすっかり色褪せて、そして今、俺は強い違和感を感じていた。
「こんな社会、もう嫌だ。」
あの時、推しを殺してしまったことで感じた重圧。それが今もなお、僕を締め付けている。そして、その後の社会――虚構の中で、誰もが何かを求めて次々と新しいものを追い求め、過去はすぐに忘れられる。皇様だって、誰も彼女の名前を口にしない。死んでしまえば、ただの過去の出来事だ。
そのことが、なんだか俺には耐えられなくなってきた。
そして、ある時。
その日も、また同じようにSNSのリプ欄が荒れていた。ファンが誹謗中傷を繰り返し、無責任なコメントが溢れている。俺はそのリプライの中に何度も目を通していた。
「またか…」と呟きながらスクロールしていると、その中に一つ、目を引くリプがあった。
「こいつが皇様を殺した犯人だってよ。」
それは、確かに俺の名前が書かれていた。そのコメントには、あのファンたちの面影があった。あいつらが書いたものだろう。それを見て、心がまたざわつく。
だが、何故だろう。今回は違った。
目を通すうちに、何かが頭の中でひらめいた。無意識にスマホを握りしめ、指で画面をタップしていた。
「…なんだ、こいつらのせいで俺は一生こんな目に遭い続けるのか。」
その瞬間、急に思いついたことがあった。あの厄介なファンたち、まだ誰も捕まっていない奴らがいる。あの時の仲間たち、奴らが犯したことは未だに正されていない。そして、俺が受けたこの屈辱を、放っておくわけにはいかない。
心の中で、一つの計画が浮かぶ。
もう、社会に背を向けて、このまま隠れて生きていくことはできない。皇様を殺したことで起きた事態を、今、俺が直接、終わらせるべきだ。
その日から、俺は決心を固めた。あの厄介ファンたちを一人一人、暴いていこう。そして、彼らの過去も、これからも、消えずに残るようにしてやる。
「俺はもう、後戻りしない。」
それが、今の俺の唯一の決意だった