コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
小学生の時の夢は「 」だった。
「ぼくは、〇〇〇〇になりたいです!みんなを〇〇〇ような、 になります…!!」
将来の夢の発表。
皆は先生とか、ケーキ屋さんとかそんな事を言っていたけど、僕は「 」 だった。
笑う子も居たけど、 俺は別に恥ずかしくなんてなかった。
本気でそうなれると信じていた。
けど。
そんなものにはなれないと。
誰よりも自分が1番知っていた。
「優!早く起きな!もう、今日から高校生なんだからビシッとしてよねー?」
ああ、そういえばそうだった。
カーテンから朝日が溢れる。
太陽も新しい生活が待ちきれないのかも。
起き上がって台所へ行くと机に食パンと牛乳が置いてあった。
頭がボーっとする。
ちょっと体がだるい。
「やっと起きた。ソーセージ、もうちょっとで焼けるから先に食パン食べておいて。」
「うん、いただきます。」
食パンに苺のジャムを塗る。
昔から苺のジャムが大好きで、多分お母さんが俺のために用意してくれたのだろう。
牛乳も蜂蜜入りだ。
有り難く朝食を頂いていると、お母さんがソーセージの皿を手に話しかけてきた。
「今日は始業式だね、この前の入学式どうだった?友達出来たんだっけ、上手く行きそう?」
今日は高校生の始業式。
入学式はつい3日前にあった。
既に春休みが恋しくなっている。
「だから、入学式はほぼ他の生徒と話せる機会なかったし…まぁ、今日からぼちぼち頑張るよ。」
「そう?お友達出来たら教えてね、お母さんも仲良くなりたいから。優が女の子とか連れてきたらどーしよう〜!」
「気が早いわ」
ソーセージを口に放り込んで席を立つ。
制服を着るとそれらしい高校生になったかな。
「ふふ、カッコイイわよ。いってらっしゃい。」
「どーも。いってきまーす。」
教室の窓から桜を見ていた。
花びらは枝から離れていく。
周りが騒がしい。
できる限り静かに過ごせる事を願う。
「何見てんの?」
「ひぇ。」
急後ろから話しかけられてびびってしまった。
見ると短髪のいかにも好青年って奴が俺を見ている。
「…ぷはっ、ひえ。だって笑」
何なんだ一体。失礼な奴だ。
「なんだよ…。」
「いや、ちょっと気になって?」
「別に気にするほどの事してない。」
「ふーん。そう?てかさ、俺と友達に_」
その時、教室のドアが軋みながら開いた。
ここの学校だいぶ古いのかも。
「はーい、皆、おはよう。ちょっとそこ、席につく!」
「うわ、初日から怒られちゃった。また後でな!」
そう言いながら好青年くんは慌てて自分の席へ戻っていった。
嵐みたいな人だったな。
さっき何か言いかけてたけど… まあいいか。
「って事でホームルームは終わります。」
やっとか、結構長かったな。
プリントも多かったし。
ファイル持ってきて良かった。
「あっ、そういえば。部活に入ろうと思ってる人は入部届出しといてね。一応1週間くらいは見学も出来るから。」
最後にそう言うと先生は足早に教室を抜ける。
先生も大変そうだ。
「なあなあ、お前って部活入るの?」
さっきの好青年。
何故かキラキラとした視線を送ってくる。
俺、こいつにそんな視線向けられるような事した覚えないのだが…?
名前も知らないし。
「いや、入らない。てか君誰?」
「あ、ごめんごめん、俺は緋原 嵐《ひばる あらし》!お前は?」
嵐のような人だと思ったら名前まで嵐なのか…。
「…御影 優《みかげ ゆう》。」
「おう。優は部活入らないのかー。お前と同じ部活入りたかったなー。」
何故に…?
「緋原はどこに入るの?」
「んー、俺はねー」
「嵐ー!こっちで話そうよ!いいでしょ?」
「あ、ごめん、友達に呼ばれたわ。じゃな!」
あっという間に去ってしまった。
流石は陽キャといったところか、既に友達ができている…。
俺は少し息を吐くと廊下に出た。
これからの学校生活で一人になれる所でも探しておこう。
廊下はワックスをかけたばっかりなのか、少し滑りやすい。
1年は2階で、同じ階にはパソコン室と美術室がある。
職員室と購買は1階にあるらしい。
それにしても部活か…。
正直興味はある。
でも入る気にはなれなかった。
中学では入っていたのだが…。
気がつくと1番奥の美術室まで来ていた。
その隣にはパソコン室だ。
「あれ?」
確かに美術室の隣はパソコン室のはずだ。
そのはずなのに。
2つの部屋の間に扉がある。
ここって何室なんだろう…?
もしかして準備室とかかもしれない。
「…。」
少し覗いてみるだけ。
そのくらいいいだろう。
もしかしたらこれから一人になれる貴重な場所かもしれない。
ドアノブに手をかける。
少し扉の間に隙間が出来たので覗いてみると_
外からだと想像もつかないような広い空間。
それから、
『ジャジャーン!!ユメ部へようこそ!!』
謎の少年(?)がそこに居た。