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「これ、あなたの車?」
「え?・・・あっ・・う・・・うん」
彼女に見とれてまともにしゃべれない、和樹は急に恥ずかしくなって頬を染めた
「ごめんなさい!」
「え?は?」
彼女が和樹に詰め寄ってきた、なんだ?どうした?
「自転車が倒れて・・・あなたの車に傷をつけてしまったの」
彼女が指を指す所を見てみると、ボンネットに5センチほどのひっかき傷があった
この白のレクサスのオープンカーは元々は父の物だったが、最初は中国まで持っていくほどの父のお気に入りだったのに、ある日中国から帰ってきたら、どこかこの車を目の届かない所へやってくれと言われた
なので今は和樹の乗用車で通学でいつもこの車を乗っていた、屈んで覗き込んでみても何てことない傷だった
「本当にごめんなさい、弁償しますから・・・」
こまった顔の彼女もとても可愛かった
「・・・これを謝るために、ずっとここにいたの?いつから?」
「・・・1時間前から・・・誰もこの車の持ち主を知らないって言うから、困っていたの、私、今とても忙しいの早く行かないと講義に遅刻しちゃうわ!とにかく後日連絡しますから、LINE交換だけしてください」
なんてラッキーなんだ!
和樹は言われるままに彼女とLINE交換をした
「へぇ~・・・百合ちゃんって言うんだ・・・日本人?」
和樹はずっと百合に見とれていたが、さっきから変なアクセントで日本語を話しているのが気になって彼女に日本人か?と聞いてみた
「ああ・・・少し話し方ヘンでしょ?日本人なんだけど父の仕事の都合でずっと中国にいたの」
そう恥ずかしそうに、はにかむ彼女を見て、どういうわけか体の体温が2~3度上がったような気がした
首の後ろがカッと熱くなる、そうして彼女は後日必ず弁償すると言って、タイヤの小さな電動自転車に乗って去って行ってしまった、自転車までも可愛かった
和樹は魔法にかかったみたいに、去って行く彼女の後姿をいつまでも見送った