テラーノベル
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病院での時間が少しずつ“怖い場所”から“普通の場所”に変わっていくと、翔太にも小さな変化が出てきた。
最初はほんのわずかだった。
朝、看護師が来たときに目をそらさなくなった。
辰哉が来ると、布団の中から少しだけ顔を出すようになった。
亮平の声に、かすかに瞬きを返すようになった。
それだけで、兄たちは気づく。
「あ、今ちょっと違う」
ある日。
康二がいつもの調子で話しかけた。
「翔太、今日さ、俺な、売店でめっちゃ変なアイス見つけてん」
翔太は最初、いつも通り黙っていた。
でも少し間を置いて、
「……おいしいの?」
と、小さく聞き返した。
部屋の空気が一瞬止まる。
康二は一拍遅れて笑う。
「知らん!けどたぶん微妙!」
その返しに、翔太の口元がほんの少しだけ動いた。
笑いかける直前みたいな、小さな変化。
それだけなのに、照が静かに天井を見上げた。
「……今、笑いかけたよな」
誰も大げさに喜ばない。
でも、確かにそこに“変化”があった。
亮平はいつものように隣に座る。
「今日ね、空ちょっときれいだった」
翔太は少し考えてから、
「……見たかった」
と呟いた。
その一言に、亮平は少しだけ目を細める。
「次は一緒に見よ」
前と同じ言葉。
でも今度は、翔太がすぐに何も言わずに終わらせなかった。
夜。
翔太はまだ不安になることもある。
でも、辰哉が来てベッドの横に座ると、少しだけ落ち着くようになった。
「今日ね、翔太がちょっと笑った」
辰哉がそう言うと、翔太は布団の中で小さく動く。
「……笑ってない」
ぼそっと返す声。
でも完全に否定はしない。
辰哉は軽く笑う。
「じゃあ“ちょっとだけ機嫌よかった”だな」
junp
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#阪神タイガース
桃紫 さく🌸
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翔太は少し間を置いて、
「……それなら、あってる」
そう言った。
その瞬間、照が静かに息を吐いた。
「ほんまに、戻ってきてるな」
完全じゃない。
すぐに前みたいに明るくなるわけでもない。
それでも。
翔太の中に、
少しずつ“安心していい時間”が増えていく。
そしてその変化は、
兄たちにとっても同じだった。
「もう見逃さない」
誰も口には出さないけれど、
その気持ちは確かに同じ方向を向き始めていた。
コメント
15件
切ないけど柔らかな日差しが差し込んでいるような素敵な話だなと思いました! 応援してます!

久々 気になってた ほんの少しづつ前向いているんだね。 ホッとしてます。