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また数日が経過した。僕───しにがみは未だにぺいんとさんとは仲直りができていない。というか、喋りさえもしていない。もうあとちょっと数日さえしてしまえば1週間も話していないことになってしまう。
……そろそろ、気分転換したいなぁ。この前外に出たばっかなのはわかっている。それでも…僕の言う気分転換はそれじゃない。
「……撮影、したいな。」
なぜか撮影をしたくなってしまっていた。そりゃ1人実況すれば解決だし、誰かとコラボすればいい話かもしれない。視聴者には僕らの近況などわかっていないのだから。ただ、配信を一時中断しているYouTuberということだけ。
…それでも、こうなってしまった原因は自分にあるのに1人実況とかコラボとかしたらメンバーから「何なんこいつ?」と思われてしまうのは確定だ。
でも僕は違う。みんなとの撮影をしたいのだ。
「……っし。」
多分、恋しいんだろう。
僕はベッドから起き上がってパソコンを立ち上げる。そうしてチャンネル登録欄へクリックして飛び、1番上に表示されている”日常組”とアイコンと共に書かれたところをクリック。
そうして動画を遡って見ていく。
「…………ふっ、ふははっ…!」
前置きが長いのはいつものこと。それでも、僕はそれを見てしまう。ルール説明なんてわかっているのに。この話をしたと覚えているのに。…なぜかこの空間を見ているだけで楽しいのだ。
(───いいなぁ。)
昔の自分に固執するのもどうかと思う。それに加えぺいんとさんのことをあんな風に言って…日常組全体に迷惑をかけ、リスナーさんにも迷惑をかけ…。僕はとんだ男だ。何にもできない男だ。
「……わかってたのになぁ。」
泣きながら、そう呟く。…ちゃんと、僕はわかっていた。ぺいんとさんは元々そういう才能があったっちゃあったけど、努力でそれは膨大化し、そしてその他も今努力し続けていることを。
最近は編集がやけに上手くなったり、細かくなったり…こっちとしても頑張って試行錯誤しているのをよくわかっている。
でも………それでも…
「僕にはできないから、羨ましいんだよな……」
机に伏せながら、そう言葉を溢す。
僕にはぺいんとさんみたいに編集もできない、ぺいんとさんみたいに努力もできない、ぺいんとさんみたいに細かな気遣いができない……本当に何にもできない男だ。
唯一できるのはボケまくることだけ。それに突っ込んでくれれば、とにかく少しは”いい雰囲気だけ”でも出る。
「……。」
僕はスマホを置いてから上着を羽織った。机に置いてあるスマホやら財布を見てボーッとする。
───なんだか少し、休みたくて。逃げたいのかもしれない。人生は時々投げたくなって、休みたくなる。それこそ人生の波は激しく、強い。まるで津波に飲み込まれるかのような恐怖さと同じだ。
それに生き残るような強靭な心は持っていないけれど。
「……へへっ。」
乾いた笑いを出して、僕は手ぶらで家を出た。