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…でっけぇ
目の前には豪邸とまではいかないがそこらの一般家庭よりかは断然でかい家、ここは言わずもがな例のウィリーレン家
ケビン「…いくか」
玄関前まで行きインターホンを押す、すると歳を感じさせない自分よりも背が高い男が出てきた
「…君がバーンズくんかい?」
ケビン「はい、ケビン·バーンズといいます」
リニア「…僕はリニアだ、よろしくね、さ、立ち話もなんだし中においで、妻も待っている」
ケビン「うす、失礼します」
そのままリニア·ウィリーレンについていく、杖をついて足を引きずっているのを見るに戦場で負ったものなのだろうとわかる
ケビン(だが聞いた話と違うな、かのリニア·ウィリーレンは鬼教官で性格がくそ真面目で恐ぇって聞いていたんだが)
今目の前を歩いているリニア·ウィリーレンは雰囲気が近所にいるような温厚なじーさんに似ている
ケビン(ホントに同一人物か?)
リニア「君、ネットやらなんやらにある鬼教官の僕と今の僕が同一人物か疑ったね?」
ケビン「え…え、いやそんなこと……すんません」
リニア「ハハハ、いいよいいよ、同期にも今でも良く言われるよ、昔のお前はどこにいったんだって」
ケビン「は、はぁ」
リニア「あぁ、すまないね、この歳になるとつい昔話を…あ、リビングに着いたね、そこのソファに掛けていておくれ、妻をキッチンから呼んでくるよ、あと君が見たがっている物も持ってくるよ」
ケビン「…ありがとうございます」
まさか、本当に招かれるとは思わなかった、頭がイカれたんだと、質の悪い悪戯だと門前払いされると思った、だが…電話の向こうのリニアさんは…何処か声が震えているように感じた
「あら、貴方がバーンズくん?」
おそらくキッチンへリニアさんが呼びに行った奥さんなのだろう、こちらもそこら辺にいるようなおしゃべり好きな夫人に見える
「あら、自己紹介がまだだったわね、私はマリーよ、よろしく、確か…娘の、カトレアの話を聞きたいのよね」
ケビン「はい…」
リニア「いや、すまないね、探すのに手間取ったよ」
そこへ分厚い本のような物を持ったリニアさんが戻ってきた…まってくれ杖ついてるよな、片手で分厚いのを二冊持ってないか?元でも軍人だ、まだ衰えてないのか…こわ、てか
ケビン「…それは」
リニア「あの子を引き取った日からずっと記録してきた…アルバムだよ、とりあえず見てみてくれ」
リニアさんから二冊のうち一冊を受け取り最初のページをめくる、そこには治療は施されたのだろうがボロボロで、傷だらけで、何処か空っぽのような顔をした少女と若かりし頃のウィリーレン夫妻が写っていた、その少女はウィギーが言っていたように変わった髪と目ををしていた、色褪せていてもわかる、まるでマーカーペンのような蛍光ピンクだ、だが何処か懐かしさを感じてしまう
マリー「…カトレアはね、私が不妊症で悩んでいたときに孤児院で出会った子なの、保護した警察の方からどこから来たのか、どうやって来たのか、何故こんな姿なのか不明で…本人もずっと黙ったままだって聞いたの、他の子と、その…色々違うからいつも集団から一人外れてぼーとしてたわ」
どうやら畑で倒れているのを農家に発見され保護されたらしい、保護された当初は何かに怯えておりずっと何かを呟いていたらしい、その後精神病院からその孤児院に入れられたんだそうだ
マリー「最初はね、不運な子だなとしか思わなかったの、その孤児院から帰るときにこの人から貰った大事なペンがバックから無くなっててね、いくら探しても無いものだから諦めて帰ろうとしたとき」
カトレア『あの、探しているのって…これ、ですか……?』
マリー「あの子がそのペンを見つけてくれたの、どうやら院長室で見つけたらしくてね、勝手に入ったことを注意されたわ、でも」
リニア「その時に思ったんだ、この子には才能がある、ってね、物を探すのは誰にだって出きるんだが、頭もよく、僕でも声を掛けられるまで気配に気が付かなかった」
二人は何処か懐かしそうな、悲しそうな、そんな表情をしていた
マリー「それにあの子、あのままにしたら世界から消えそうな気がしてね、それからどうしても放っておけなくて、リニアと話し合ってすぐに養子にしたわ、院長さんも最初は驚いていたけど根はいい子だからって言ってくれたわ」
リニア「最初家に来たときは何処か遠慮してたりしていたのだけどね、一緒に出掛けたり軽く訓練したりしてたら身内にだけはよく話してくれるようになってくれてね、少しずつだけど…よく笑ってくれるようになった」
マリー「笑うとホントに可愛くてね、ずっとこの笑顔を見ていたいと思ったわ」
その話を聞きながらアルバムを次々とめくっていく、無表情だった顔は段々と笑顔が多い写真になっていった、その笑顔がどうしようもなく懐かしくて、どこかで突っ掛かるような感覚に落ちる、それでもまだ頭には霧が掛かったかのようにその顔をどこで見たのか、いつ見たのかがわからない
ケビン「それで…あの、何で俺のような奴の話を信じてくれたんでしょうか、夢だなんて誰でも見るようなものだしそれに詐欺とか…」
リニア「あぁ、その事ね、実はしばらく経ったときにあの子が話してくれてね、驚いたよ」
カトレア『私…えっと、あのプレイタイムから来たの、地下の孤児院から…』
リニア『……からかってる訳では無いんだな?』
カトレア『…うん』
マリー『……確かに…この子が保護されたっていう時期と合いはするわね』
リニア『…つまり君は何故あのプレイタイムで集団失踪が起こったのかがわかるのか?』
カトレア『……できる…だけ、思い出したくはない……』
自分がどこから来たのか正直に話してくれた少女はここに来たばかりのように怯えているように見えた
リニア「君が話していた夢の内容と一致する所が多々あったからね」
マリー「今思えば…あの子はあの時点でもう決意していたのかもね」
ケビン「け、決意?」
リニア「…あの子は知りたかったんだろうね、何故自分があの姿になってしまったのか…何故……」
自身の大事な友人が人では無くなってしまったのか
続く
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