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りるら
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耀聖(ようせい)
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あの動作、身に覚えがある。
何もやることがないけれど、話しかける勇気もない。
座ったまま、机の天板を眺めているのも長くは続かない。
助けを求めたいけれど、できない。
そんな時に、自分もよくやっていた。
誰でもいいから、目を合わせて安心したい。
そんな思いの表れだと、今も思っている。
(……あの時、話せる人が1人でもいたら安心したんだよな……)
そこまで考えると、ふとノートを捲る手が止まる。
以前、「もうこんな思いはしたくない」と決めた。
そして、「こんな思いを他人にさせたくない」と。
朔も例外ではない。自分とほぼ同じ境遇にいるのだから。
はっと気付く。
(───つらさを知っている自分なら、朔の味方、救いになれるのではないか?)
全部、知っている。
心細さも、不安も、つらさも、痛みも。
縋りたくなる気持ちも、全部。
本当に、苦しくて。
もう、誰にもこんな思いをさせない。
自分が、救いになる。
心の奥で、歯車がかちりと音を立てて嵌まった音がした。
(───やるんだ、自分が。)
朔の救いになる。
そう決めてからの行動は早かった。
まず、目が合ったら微笑むことにした。
あの頃の自分は、「受け入れてもらえた」とそれだけで安心したから。
ただ、不安なこともあった。
初対面の、しかも異性に微笑まれたら不審に思わないだろうか。
自分の時は優しそうな同性の子だったから良かったものの、ある程度成長した男子がこれをやられたら、という不安が頭をよぎった。
だが、自分に活を入れる。
自分は、朔の救いになるのだ。
性別どうこう言ってる場合じゃない。
ふぅ、と深呼吸し、朔をじっと見つめる。
相変わらずそわそわしていた朔だったが、こちらの視線に気付いたのか顔を上げる。
目線が、机ひとつを隔てて交わった。
(……笑え。笑うんだ。逸らされる前に。)
ふわっと、自然に笑ってみる。
目尻を柔らかく下げ、少し口角を上げる。
我ながら女神のような笑みだ、と頭の片隅で思ったがそんなのどうでもいい。
(……どうだ?)
朔はというと。
一瞬固まっていた。
そのあと、ぎこちない動作で軽く頭を下げ、目線を戻した。
(……反応してくれた、のか……?)
確かに、こちらを見ていた。
それに、気のせいだろうか。
視線を戻す時、朔の口角がほんの少し、上がっていた気がした。
(……伝わったかな?)
朔が笑った笑っていないはさておき、心がほんのり温まっていることに気付いた。
少しずつでいい。
朔の日常が少しでも彩られるのなら。
救いになれるのなら。
自分は、努力を惜しまない。