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夕食を終えたジョセフとポテトは、すぐさま夜の繁華街へと繰り出した。

賑やかな通りには、鬼たちが楽しそうに飲んだり食べたりしている光景が広がっていた。

ポテトはその様子を見て、「僕たちの生活とあまり変わらないんですね」と感心したように言った。

ジョセフも同意し、「そうだな、かつて鬼が暴れていたとは思えない光景だな」と感慨深げに応じた。

その時、呼び込みの鬼が近づいてきて、「お兄さんたち、いい子が揃ってますよ」と声をかけた。

その誘いに、ジョセフとポテトは顔を赤らめながら店に入って行った。

店内は煌びやかで、豪華なシャンデリアが輝き、女性の鬼たちが観光客らしきオスを接待していた。

店長の猫がやってきて、「これはこれは、ようこそお越しくださいました。

桃次郎様のお客様ですね、どうぞこちらへ」と奥のVIP席に案内した。

ポテトは興奮しながら、「さすが桃次郎さん、僕たちまで有名人になった気分ですね」と言った。

ジョセフも自慢げに、「有名人扱いなんて最高だぜ」と笑顔を見せた。

店長は誇らしげに、「選りすぐりの女の子を集めました」と言いながら、

VIP席にまだ幼い子供の鬼たちを連れてきた。

ジョセフは驚いて、「おい、子供じゃないか」と声を上げた。

店長は微笑みながら、「おや、お気に召されませんか?鬼の血は不老長寿の薬と言われ、

大変貴重なものなんですよ」と説明した。

ジョセフはさらに驚いて聞き返した。「鬼の血?」

店長は頷きながら、「はい、鬼は私たちより成長が遅く、500年生きると言われております。

しかもこの強靭な体は一生病気知らず。その血を飲むことで不老長寿になると言われているんですよ」と続けた。

ジョセフは動揺を隠せず、「じゃあ、ここにいる子供の鬼は...?」と尋ねた。

店長は冷静に答えた。「はい、1人選んでいただき、その血を飲んでいただきます。」

その言葉にジョセフとポテトは驚愕し、言葉を失った。彼らの心には、突然の恐怖と戸惑いが押し寄せた。

店長は続けて説明する「さらに、幼い鬼の血は特に希少で、その純度が非常に高いとされています。

若い頃の血は、長寿と健康の力がより強く秘められていると古くから言われているんですよ。

ですから、幼い鬼の血を味わうことは、不老長寿の効果を最大限に引き出すための秘訣とされているんです。」

ジョセフとポテトは、店長が連れてきた幼い鬼たちを見て困惑していた。

ジョセフは恐る恐る、「血を飲むっていっても1滴飲むだけなんだろう?」と尋ねた。


店長はにやりと笑い、「桃次郎さまの大切なお客様でございます。

ご満足いただくまでお召し上がりください」と答えた。


その言葉を合図に、側にいた店員が1人の子供の鬼を捕まえ、

鉈を首に振り下ろした。「ぎゃぁああ」という悲痛な叫びとともに血が吹き出し、

ジョセフとポテトに大量の血がかかった。


その恐怖の光景に、2匹は震え上がった。ジョセフは混乱しながら、

「大丈夫です。こんなことで鬼は死んだりしませんから」という店長の言葉に耳を傾けることもできなかった。


震えながら腰を抜かし、その場を逃げようとする2匹。しかし、店長は後ろから近づき、

「どうしました?宴はまだこれからですよ」と言いながらロープをジョセフに巻こうとした。


その瞬間、ジョセフは「やめてくれ!!」と叫びながら飛び起きた。

目の前には、ジョセフ達が泊まっているスイートルームのベッドの上だった。


汗だくのジョセフは、しばらくの間呼吸を整えながら周囲を見渡した。横のベッドでは、

ポテトが気持ちよさそうに寝息を立てていた。


ジョセフは深い息をつき、「夢か...」と呟いた。

恐ろしい夢から覚めた安堵感が胸に広がり、

彼は再びベッドに横たわった。。


次の日の朝、ジョセフは昨日の夢の影響を引きずったまま、

疲れた様子で朝食をとっていた。テーブルには美味しそうな料理が並んでいるが、

ジョセフの食欲はどこかへ消え去っていた。

ポテトはジョセフの顔を覗き込んで、

「どうしたんですか?こんなに美味しい朝食なのに、元気ないですね」と心配そうに尋ねた。

ジョセフはフォークを持つ手を止め、「ああ、ちょっと変な夢を見てね」と答えた。

「夢?」とポテトが首をかしげたその時、秘書がやってきた。

「ジョセフ様、本日の観光のスケジュールでございます。こちらを回っていただき、

動画や写真でアピールしてもらいます」と、秘書は一枚のスケジュール表を差し出した。

ジョセフは気のない返事を返した。「ああ……」

その様子を見た秘書は心配そうに、「お元気がなさそうですね。体調が悪いのですか?」と問うた。

ジョセフは首を振り、「ま、まあ少し..」と言うと

「では、鬼ヶ島に伝わる特製ドリンクはいかがでしょう」と提案し、

メイドがジョセフの目の前にグラスを置き、赤い液体を注いだ。

「鬼ヶ島に伝わる伝統の……」と説明を始めた秘書の言葉を聞いた瞬間、

ジョセフの脳裏に昨日の夢の光景が蘇った。彼は突然椅子から飛び上がり、

「結構だ!!俺は元気だから大丈夫!!」と叫び、部屋へと慌てて戻った。

ポテトは驚いて、「あ、先輩!!」と声を上げたが、ジョセフは振り返ることなく去っていった。

秘書は心配そうに、「本当に大丈夫でしょうか」と呟いた。

ポテトはそのグラスを見て、「これ、僕が飲んでもいいですか?」と尋ねた。

秘書は微笑んで、「もちろん、これは鬼ヶ島名産のマリマリ(果物)ジュースですよ」と答えた。

ポテトはグラスを手に取り、一口飲んでみた。「甘くておいしいです」と感想を述べた。

秘書は満足そうにうなずき、「では、のちほど」と言って朝食の会場を後にした。

ポテトはジョセフのことを心配しつつも、自分の朝食を楽しみながら、

今日の観光がどんなものになるのかを楽しみにしていた。

ジョセフが元気を取り戻してくれることを願いつつ、新しい一日の始まりを感じていた。

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