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良すぎる!! 応援するぞ〜!
第4章 どこにいるの?
「ユイちゃんは何がスキ?」
「え?」
急に彼はそんなことを聞いてきた。
「別に好きなものなんてないよ、でも静かなところは好きかな、」
「じゃあ一緒だね」
そう言って彼は笑った。
彼の笑顔はすごく優しい、
まるで太陽に照らされた花がゆっくりと花開くように、
私は彼の笑顔がとても心地よい、
心が楽になる。
「ユイちゃんはさ、静かなところを求めてここに来たの?」
「…そうだと思う、」
「お互い静かなところが好きでここに来た、もうそれって運命だね!」
冗談まじりに彼はいった、
初めてカイと喋った時もそんなことを言っていたな、
ほんとにカイは自然と私の中に入ってくる、
でも嫌だとは思わなかった、逆に嬉しかった、
次の日も私は音楽室に足を踏み入れた。
でもそこにカイはいなかった。
旧校舎全部を探した。
探し終わって音楽室に戻ればカイがいるかもしれない、
そんな淡い期待を胸にまた音楽室の扉を開いた。
でもやっぱりカイはいなかった。
カイがいないなら帰ろうかと悩んだ、
でも帰りたくなかった。
私は一人本を読んだいつもは二人で並んで座っている窓際の席で、
でもいまはカイはいない、
なぜだろう一人の時間は慣れていていままで一度もさみしいなんて思わなかったのに。
すごくさみしい、今にも涙が溢れてきそうなほどさみしかった、
本なんてまともに読めなかった。
カイはどこに行ったのだろう、
すごく不安になった、
いつかカイは人に触れられないと言っていた。
彼は消えてしまったのではないか、
もう二度と会えない気さえした、
そう考えると吐きそうなほど怖かった、
彼に二度と会えなくなるのは嫌だった。
不思議だ、なぜこんなにも彼に会いたいと思うのだろう、
今まで誰とも関わりたくないとさえ思っていたのに。
なぜ今はこんなにもさみしくて怖いのだろう。
あぁ、カイに会いたい、会って声を聞きたい。
「どこにいるの?戻ってきてよ。」
私はそう声に出して言った、
彼にもう一度会いたいと願いながら_。