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いつも一緒に帰る友人たち。
よっぽどの理由や用事がなければ帰りはいつも一緒だった。
『悪ぃ!今日、らっだぁと約束してることがあって一緒に帰れねー!トラゾーホントにごめん!』
『すみません、トラゾーさん!今日はどうしても外せない用事があって。マジでごめんなさい!』
『トラゾーごめん、放課後ともさんに呼ばれてちょっと手伝いしないといけないことがあるんだ。ごめんね』
と、それぞれにそう言われて。
かく言う俺も少しすることがあって図書室に寄って調べ物をしてから帰るつもりだった為、大丈夫であることを伝えていた。
1時間くらいだろうか、調べ物が一区切りついて手帳にも書き残した。
そろそろ下校時間を告げる放送が鳴る、と帰ろうかとふと図書室から外を見た。
夕焼けに照らされるグラウンド。
ここから見える景色は好きだ。
『あれ』
と、そこには用事があると言っていた3人が一緒に笑いながらグラウンドを歩いている姿が見えたのだ。
『なんで?』
たまたま、用事が終わったのが一緒だったのか?
だとしたら、らっだぁさんと約束していたというぺいんとが何故いるのか。
ズキリと胸の辺りが痛む。
友人に裏切られたような、仲間外れにされたような。
そんな悲しいという感情で喉の奥が苦しくなる。
正門から出ていく3人をその場で眺め、深く被っていた帽子を更に深く被って俯いた。
『…嘘、つかれた?』
あの3人に限ってそんなことするか?と疑問に思う。
けれど、一度生まれた疑念は払うことができなくて。
『……いや、考えすぎだ。きっと、ホントにたまたま用事が終わったのが被っただけだ。…ぺいんともきっと、』
溢れそうになる涙を制服の袖で拭って、振り払うようにカーテンを閉めた。