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#めめこじ
雫
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ゆんしょ
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絶対辰哉
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照と辰哉は、高校二年生の冬から付き合っていた。
周りには隠していたけれど、お互い本気だった。
卒業しても、将来の夢が違っても、ずっと一緒にいると思っていた。
だけど二十二歳の春。
夢を追いかける中ですれ違いが増え、最後はどちらも本音を言えないまま別れた。
それ以来、一度も連絡は取っていない。
そして五年後。
同じ会社の大型プロジェクトで、二人は再会する。
もう終わったはずの恋が、少しずつ動き始める。
⸻
第一話
「五年ぶり」
朝八時。
大手広告会社「Aster」。
今日から新しい大型プロジェクトが始まる。
各部署から選ばれたメンバーが集まり、半年かけて一つの企画を完成させる。
辰哉は資料を抱えながら会議室へ向かった。
「初日から緊張するな……」
深呼吸をして扉を開ける。
すでに数人が席に着いていた。
空いている席へ座ろうとした、その時だった。
「……え」
思わず声が漏れる。
部屋の一番奥。
黒いシャツ姿の男性がゆっくり顔を上げる。
その瞬間。
目が合った。
時間が止まる。
照だった。
高校時代も、大学時代も。
誰より近くにいた人。
五年前、自分から別れを告げた相手。
照も驚いたように目を見開いていた。
しばらく視線が動かない。
その沈黙を破ったのは、部長だった。
「お、全員揃ったな」
二人は慌てて視線を逸らす。
「今回のプロジェクトリーダーは照」
照が立ち上がる。
「サブリーダーは辰哉」
辰哉の肩が小さく揺れた。
「二人を中心に進めてもらう」
最悪だ。
辰哉は心の中でそう思った。
よりによって、一番近い立場。
半年間、一緒に仕事をすることになるなんて。
会議が終わる。
みんなが資料を持って立ち上がる中、辰哉は一人だけ動けなかった。
その時。
目の前で足が止まる。
ゆっくり顔を上げる。
照だった。
五年前より少し短くなった髪。
少し大人びた表情。
でも、変わらない声。
💛「……久しぶり」
たった一言。
その声だけで、胸の奥に閉じ込めていた記憶が一気によみがえる。
💜「……久しぶり」
それが精一杯だった。
沈黙が流れる。
何を言えばいいのか分からない。
「照さん!」
後ろから女性社員が駆け寄ってきた。
「この資料って確認お願いできますか?」
💛「ああ、いいよ」
照は辰哉を一瞬だけ見つめる。
💛「また後で」
そう言って歩いていった。
辰哉はその背中を見送ることしかできなかった。
(……変わってない)
歩き方も。
声も。
笑い方も。
全部覚えていた。
忘れたつもりだったのに。
忘れられるわけがなかった。
その日の帰り道。
駅のホームで電車を待っていると、隣に人が立った。
視線を向けなくても分かる。
照だった。
ホームには二人だけ。
気まずい沈黙。
先に口を開いたのは照だった。
💛「今もコーヒー苦手?」
突然の質問。
辰哉は少し笑ってしまう。
💜「……まだ飲めない」
💛「そう」
照も少しだけ笑った。
高校の頃。
毎回ブラックコーヒーに挑戦しては顔をしかめる辰哉を、照はいつも笑って見ていた。
そんな何気ない記憶まで、ちゃんと覚えていた。
電車がホームへ滑り込む。
ドアが開く。
二人は同じ車両へ乗り込んだ。
昔は当たり前だった隣同士の距離。
今は一人分、空席を挟んで座る。
その距離が。
五年という時間を表しているようだった。
コメント
3件
次々に新しいシリーズが!こんなにいっぱい書いてるのに全部コンセプト?が被らないのすげぇ!
ああ、もう読み終わりました……胸がぎゅっとなりましたね。五年ぶりの再会で、同じプロジェクトのリーダーとサブリーダーって、運命の悪戯としか思えないです。お互い「久しぶり」の一言しか出てこない感じとか、コーヒーの話でちょっとだけ昔に戻る瞬間とか、すごくリアルで切なかったです。隣の席を一つ空けて座る距離感、じんと来ました。この先の距離がどう変わっていくのか、気になって仕方ないです🌷