テラーノベル
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華金 、 それは幸せの言葉 。
帰り道のコンビニで目があってしまった缶ビールと 、少しばかりのつまみ
好きな番組の録画を見ながら 、 お風呂から上がったばかりの身体が冷めないうちに
冷え切った黄金色を思いっきり呑み込む 。
このために生きている、なんて言葉があるけれど 、 疲れた身体が
この言葉を捧げたくて駄々をこねるくらいには、 よく効く良薬だ 。
何も考えずに、只々幸せを流し込む。
時計が午後11:00を回ったところ、この家ではあまりならないチャイムの音がした。
お隣さんかな、とも思ったけれど二回目が鳴ったところでようやく腰を上げる。
酒で頭が回っていないのか、…いつもなら覗き窓を見るはずなのに、
今日は、この日だけは運悪く 。
はーい、なんて言いながらドアを開けてしまった 。
華金、それは幸せの日 。 … のはず 。
すくなくとも、今日までは幸せだった … 嫌 、 つい最近は 、 幸せだった 。
扉を開けると同時に抱きついてきた甘い香りと36.5度程度の温もり 。
少し長い前髪が鼻にかかってくすぐったい 。
緑のような、コガネの様な 。
猫の様に細い瞳孔は、しっかりと私を捉えた 。
肩を引き寄せられ、腰に手を回され 。
抵抗する間もなく 、一瞬のうちに 唇が触れる 。
ゆっくりと距離が離れていくにつれ 、 私の肌は焦りと絶望と恐怖を同時に体感する 。
『 … 久しぶりだね 』
愛おしいものを見る様な眼を 、 あの頃 私のことを散々踏み躙った眼で 。
猫を撫でているような声で 、 あの頃 私のことを散々貶した声で 。
底無しの胃袋から吐き出すかの様な暴言を、散々私に投げつけてきた唇で 。
幸せそうな顔をしながら 、 私のことを抱きしめている 。
『 やっと会えた 』
華金、それは幸せの言葉 。
いつも疲れた顔をしているお隣さんの部屋に 、 素敵な男性が入っていった 。
きっと、今日は特別な日なんだ 。
コメント
5件
今回も神作だね!!!! めちゃくちゃ良かったよ!!!! わぁ…ヤンデレ…嬉し過ぎるなぁ…(?) 華金…初めて聞く言葉だったから 調べてみたら良い意味だね… 特に今日の主人公ちゃんみたいな 凄く疲れが溜まった日には 華金は有難い物だね… 酔ってると判断能力が落ちるし 普段の状態ではないからね… 仕方ないのかもしれなかったけど… それでも絶対にこの人と会うのは嫌そう… 次回も楽しみに待ってるね!!!!
#ヤンデレって書かれてて、歓喜あげそうになりました。 めっちゃ好きです!続き気長に待ってます!
おぷのときから気になってましたけれども 、 最高ですね