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「………わぁ、結構人が居るなぁ」
俺はやっとの思いで藤襲山にやってきた
「おー!俺の年より多いじゃ無いか!すごいな、今年は!」
「でも、これで生き残れなきゃ意味ねーんだろ?」
俺は知ってる、隊士になるはずだった人間の死を、だから俺は、ここでの目標を一つ掲げる
「匡近さん、俺、ここで一つ目標言っていい?」
「ん?良いぞ!」
きっと、俺が今から言う目標は、無謀だって思われるだろうなぁ………
「ここで死者を一人も出させない」
「………え?」
「俺は、ここでの死者を絶対に出さない、全員生還してやる」
「…………うん!良い目標だな!玄弥!」
「………絶対に叶えてやるからな!!」
山の中
「………暗いわ!!」
俺は思わず声を荒げてしまった
いや、ここマジで暗いんだよ、俺の視力が良かったからまだ良いけど
「危ない!錆兎!!」
「っえ?」
今、誰か声が聞こえた?
「チッ待ってろよ!!」
「あははははっ!良いなぁ、狐の面の子供だぁ!!」
「さっ、さび、と!錆兎!!」
顔に傷をつくった少年が、そう叫んでいた
そして数十本ほどある手を持った鬼は、笑いながらこう言った
「お前も水の呼吸の使い手かぁ、良いなぁ!今日は獲物が2匹だぁ!!」
俺はすぐに駆けつけ、鬼に切り掛かった
「そうはさせねぇよ!!」
「あ”?」
「シィィァァァ」
俺は呼吸音を使って鬼に近づいた時、ふと不安になった
やばい、いざ風の呼吸を使うとなったら、すごい緊張してきた
いや、俺は前風柱と甲まじかの隊士に認められてんだ、だから、いける!!
「風の呼吸・伍ノ型・木枯らし颪!!」
ザシュッ!!!
俺が風の呼吸で技を繰り出して、鬼の手を切ったら、鬼の手が吹き飛んだ
「グッ!なんだ!お前、風の呼吸の使いかあぁ!!」
やった!出来た!風の呼吸、できた!!って、喜んでる場合じゃねぇ!!
「あの!大丈夫ですか!!」
俺はすぐに顔を血だらけにした男の子に聞いた
「さ……さび、さびと、は?」
男の子は少し混乱していた
「さびとって、あの、朱色の髪の色の人ですか?」
「そう、さびと………さびとは!!」
「錆兎さん!!怪我は?!」
俺が聞いたら、すぐに反応した
「あぁ、俺は大丈夫だ!ありがとう!」
「それにしても風の呼吸の使いか」
「エッ………あ、はい」
そう言えば…………この人って、炭治郎の言ってた”錆兎”さんだよな
すげぇ…………炭治郎の言ってた通り、かっこいいな
「ん?俺の顔がどうかしたか?」
「あ、いやすいません、なんでもありません!」
「おいおい!お前たち、俺を置いて何話し込んでんだぁあ?!」
「ひぃぃ!!」
水柱様が善逸みたいな声を出した
チッ、あいつ、強ぇぇ………
「俺はあの鬼を惹きつける、お前は義勇を連れて逃げろ!!」
「はぁ??何言ってんだテメェ!俺だって最終戦別に来てんだ!この鬼くらい倒せなきゃ困るんだよ!!」
何言ってんだこいつ!この鬼、”手鬼”だぞ?!それにこいつ、気配的に人をたくさん食ってる…………
「あ”ぁもう!錆兎!」
俺は錆兎にイラついて声を上げた
「なんだ?!」
「前髪を二つで分けてるやつ!」
俺は”村田”さんを読んだ(すいません、お前なんて言って(((()
「え?!俺ぇ?!」
「お前だよ!お前、こいつを奥に連れてけ!」
今の状況だと、水柱様は動けそうに無い、だから村田さんに運んでもらわねぇと!!
「え、でも……」
「良いから!こいつは俺と錆兎で戦う!」
「………義勇を置いていくわけには」
錆兎は苦しそうな顔をした
「お前、こいつと一緒に合格しに来たんじゃねぇの?!」
「こいつを生かしたいなら、俺の言うこと聞け!」
炭治郎、錆兎、いつもこう言ってたんだよな?
「”男なら”!大事な人一人守れねぇとダメだろぉが!!」
俺は力の限り叫んだ
「クックックッ、お前ら、話は終わったかぁ??」
「狐の面…………鱗滝ぃぃい!!」
ヒュンッッ!!
鬼の手が飛んできた、くそ、動きが速くなってる
「おらぁぁぁぁぁあ!!」
ザシュッザンッザクッ!!
「風の呼吸!捌ノ型・勁風 天狗風!!」
俺は空中に飛び、技を出す
「水の呼吸!玖ノ型・水流飛沫・乱!」
錆兎も技を出した
「………………綺麗」
俺は思わずそう呟いてしまうほど、錆兎の水の呼吸は洗礼されていた
「はっはっはっはっ!!お前らに俺は倒せん!!」
ヒュンッ!!
「あ”っ!!」
「錆兎!!」
まずいっ、錆兎がやられた!!こうなったら…………っ!!
俺は鬼の手を拾い、かぶりついた
「くっ…………おい!お前何してんだ!」
「理由は後で説明する!今はこれしかねぇんだ!」
早く鬼喰いして、再生しねぇと!!
グググッ…………体が大きくなる、力が溢れる…………よし
「おい!テメェの相手は俺だぞ!!」
「あ?」
「調子に乗りやがって!!」
「調子に乗ってなんかねぇよ!!このクソやろぉがぁぁぁぁ!!」
そう言って、風の呼吸を出した
「風の呼吸!捌ノ型・初烈風斬り!!」
鬼の手が飛んできたのを皮切りに、鬼の手をザックザックと切って至った
「お前は!なんで鬼になんてなってんだ!!」
「本当は鬼になんかなりたくなかったんじゃねぇのか!!」
俺は薄々感じてた、こいつはきっと、”鬼になんかなりたくなかった”って
だけど、何か大事なものがなくなって、どうしようもなくって、それで………
「お前は、どうしてそう鱗滝さんに執着してるんだ!」
「あの人は!ただお前を、楽にしたかったのかも知れねぇじゃねぇか!!」
「楽………に」
お兄ちゃん!ねぇ、どこー!!
お兄ちゃん…………怖いよぉ…………手ぇ、握ってよぉ…………
“お兄ちゃん”?
「うわぁぁぁあぁぁあぁ!!」
「………っ?!」
こいつ、急に理性がなくなった?!
「鱗滝、鱗滝!くそっ、くそっ!!」
「殺してやる!お前も、その狐の面も!!」
「…………良い加減にしろよ!!」
俺は怒りが最高に達した
「俺は絶対にお前を殺す!この手でな!!」
「錆兎!お前は下がってろ!」
「はぁ?!でも、お前じゃ」
「”良いから”、な?」
「………っ、分かっ、た」
俺は地を這うように低い声が出た
「シィィァァァ」
俺は肺に入れれるばかりの空気を入れた
「………の呼吸、壱ノ型!!」
「え………?」
「台風!!」
俺は竜巻のような風を出しながら、鬼の首を切っていた
ザシュッ、ボトッ…………
「くそぉっ、なんでっ、なんでこの俺が!!」
「……………なぁ、手鬼」
「俺はお前に願うよ」
いつか、誰かが言ってた言葉
「”次お前が生まれてくる時は、鬼の居ない、平和な世界に生まれてこいよ”」
俺は最後、鬼の手を握った
「……………」
「………にい、ちゃん」
「・・・」
そう言って、鬼は消えていった
「………鬼舞辻無惨、俺はお前を、絶対に許さねぇ」
「………あ、あの!!」
「うおっ!え、ぎ…………水の呼吸の隊士?」
「あ………うん!あの、助けてくれてありがとう!」
水柱様は俺に礼を言ってきた
「あ、いえいえ、別に俺は」
「あ、俺の名前は”冨岡義勇”!水の呼吸の使い手だよ!」
てか、この人本当に水柱様か?すっげぇ瞳がキラキラしてる((
「そうなんですか」
俺は笑って答えた
「ねぇ、なんで敬語なの?俺たち、同い年でしょ?」
「う………そうなんだけどな」
この人、記憶ないのか??
「分かった、分かったから、えっと、俺はな」
「おい!大丈夫か?!」
ドーンッ!キーンッ!!!
「いやうるせぇわ!!錆兎!!」
「ごめんごめん!けど、助けてくれてありがとうな!!おかげで今生きている!」
「いや………俺はなんもしてねぇよ」
俺はただ、あいつに個人の感情で殺っただけだから
「……あ、俺は錆兎だ、よろしくな」
「あ、よろしく………お願いします」
「なんで敬語なんだよ」
「いや………ごめん」
水柱様と水柱様の友達って…………流石に敬語使わなきゃいけねぇよなー
「俺は錆兎で良いぞ、義勇も義勇でいいからな!」
「そうだよ!俺は義勇でいいよ!」
「なぁ、お前も自己紹介しろよー」
「え、いや、俺はいいし…………」
「何言ってんの?俺たち、同期になるつもりでいるんだろ?」
「うっ………分かったよ………」
「俺は鬼喰玄弥、一応風の呼吸の使い手」
「玄弥か!やっぱり風の呼吸の使い手なんだな!」
錆兎が俺に言ってきた
「でも、最後あいつの首を切る時、違う呼吸を使ってたよな?あれってなんだ?」
「え?あ…………」
確かに、あれはなんだ?
「いやー………分からねぇな」
「あれ、咄嗟に出たやつだし」
「第一あれが呼吸なのかも分からねぇんだよwww」
「でも、あれはきっと、風の呼吸から派生したものだと思うぞ!」
錆兎はそう元気にいった
「だと良いなぁwww」
「そう言えば、玄弥って、匡近さんと一回、鱗滝さんの所に来たよな?」
え、俺が来たこと知ってんの?俺、気配消してた気がするんだけど
「え、知ってる?俺が来たこと」
「あぁ、義勇が「あの子、すっごくかっこいいね!!」って言っててさ」
まじか、義勇、俺のことそんなふうに思ってくれてたんだ、嬉し
「え、まじ?」
「ちょっ、錆兎!!それ言わないでよ!!」
待って、義勇スッゲェ可愛いんだけど、俺の弟にしたい
「ごめん☆でも、風の呼吸を使ってる玄弥、すっごいカッコよかったぞ!」
「へへっ、そうか?ありがとな」
「でもさ、俺、錆兎の水の呼吸、好きだぜ」
「え?俺の?」
「あぁ、錆兎の水の呼吸、すっげぇ洗礼されてて綺麗だった」
「呼吸の使えないこれでもわかるよ」
「……何言ってるんだ?玄弥は呼吸が使えるだろ?」
「………そうだったな、ごめん、つい癖で」
「癖??」
「まぁ、色々あるんだよ」
俺はつい癖で「呼吸が使えないから」って言ってしまった、くそっ、癖ってなかなか抜けないもんだな
それから七日目
「なぁ錆兎、鬼、全然居なくね?」
「だな、誰か強い人が狩ったんだな」
「あら?あなたが噂の風の呼吸の人?」
「え?」
俺はそこで、どこか見覚えのある人に話しかけられた
「こんにちわ、私は胡蝶カナエと申します、花の呼吸の使い手なの」
「あ、こんにちわ」
誰だ、この人………
「あ、カナエさん、こんにちわ、カナエさんも来てたんですね」
「え、錆兎、お前知り合いなの?」
誰?まじで誰??てか、この人、すっげぇ見覚えあるんだけど
「知らないのか?玄弥」
「この人、あの街で有名な『胡蝶家』だよ」
「…………ああ!しのぶさんのお姉さん!!」
「あら、貴方、しのぶの事知ってるの?」
「えっ…………いや、名前だけは……」
確かこの人は、胡蝶さんの『姉』だ
それは、前回での出来事
「それでは玄弥くん、これで検診を終わりますね」
「はい……」
俺は鬼喰いで、定期検診に来ていた
「…………あれ?」 俺は机の写真に目が止まった
「どうしたんですか?」
「あ、いえ、その………その写真の女性、綺麗だなって思って」
俺がそう言うと、胡蝶さんは顔に影を落としてこう言った
「……あぁ、この方ですか」
「はい、えっと…………なんとなく、ですけど、胡蝶さんに似てるな……って」
「その写真の方は、私の姉です」
「えっ、そうなんですか」
「えぇ、綺麗でしょう?」
「はい、その………こ、胡蝶さんに、似ていて」
「ふふっ、そうですか、ありがとうございます」
胡蝶さんはそう言って、にっこりと微笑んだ
「あの……お姉さんは、どんな人だったんですか?」
俺は思わず聞いてしまった
「……気になります?」
「あ……はい」
「せっかくですし、裏庭で話しませんか?」
「はい!」
〜裏庭〜
「私の姉も実は鬼殺隊士だったんです」
「そっ、そうなんですか?!」
「えぇ、それに柱で、とても強い人だったんですよ?」
「凄い……何柱だったんですか?」
「花柱です姉は花の呼吸を使っていたので」
「………姉は、本当にすごい人でした」
「姉はいつでも笑って、それでいて、勤勉で、優しくて…………」
そう言って、胡蝶さんは黙り込んだ
「私の………憧れだったんです」
「…………けど姉は、上弦の弍に、殺された」
「じ、上弦の弍?!」
俺が思わず声を上げると、胡蝶さんは顔に影を落としながら言った
「はい、姉はその時、違う任務だったんですけど」
「偶然一般隊士の向かった任務先に、上弦が現れて」
「そんな………」
そんなことがあるなんて、俺は思っても観なかった
「それで姉は隊士と合流して、その鬼と戦って………」
「………私が向かった時にはもう、意識があまりなかったんです」
「その時に姉は私に言いました」
“しのぶ、鬼殺隊を辞めなさい”
“貴方は頑張っているわ、本当に頑張っているわ、だけど、多分しのぶは………”
“普通の女の子になって、普通に生きて欲しいのよ”
“お婆さんになるまで、髪が白くなるまで生きて欲しいのよ”
「………そう、言ってきたんです」
「ですが、私にはそんなことなんて、出来ません」
「姉を殺されて、人並みの生活をしろ?そんなの無理です」
「それで私は決意しました、絶対に姉の仇を取るって」
そう言ったしのぶさんの顔は、怒りに満ちていた
そして俺は不覚にも、その顔を”綺麗”だと言う思ってしまった
「そして、玄弥くんには特別に、私の秘密を話してあげましょう」
「え、胡蝶さんの秘密?」
「はい」
「………今、私の体の中には、藤の花の毒があります」
胡蝶さんがそう言った途端、俺の心臓がドクンっとなった
ドクン、ドクン、ドクンッ
あぁ、だから胡蝶さん、たまに嫌な匂いがしたんだ
「………玄弥くんは気づいていましたよね?私の異変に」
「……はい」
「それなら良かったです、玄弥くんで聞いているなら、きっと上弦にも効果があるはずです」
………………俺は聞いてられなかった
どうしてそんなことをするのか、いくら姉の仇を取ると言っても、命まで賭けるのか
「…………玄弥くん、これは、私と貴方の秘密ですよ」
胡蝶さんはそう言って、俺に小指を出してきた
「ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーます」
俺は、この人に生きて欲しい
生きて、幸せになって欲しい
こんなに、辛い顔をしている、人に
「「ゆびきった」」
「………玄弥くん、どうか、生きてくださいね」
「私は貴方を応援しています」
………この人が、胡蝶さんのお姉さん…………
良かった………生きてる、そりゃ、今は過去だけどさ………
「あら、ど、どうしたの?」
「へ?」
「お、おい、玄弥、どうしたんだ?」
「え?さび、と?」
「あわわわっ、どうしたの?!玄弥!」
「え?あれ……っ、俺、泣いてる?」
「あらあら………何か、辛いことがあったの?」
「いえっ………そ、そんな、訳では、なくて」
言えない、前世で俺の大事な人のお姉さんが生きていて、嬉しいなんて、言える訳ない
「ただ………少し、母を思い出してしまって」
「お母さん?」
「はい………母は、貴方のように美しく、そして優しい人でした」
「すいません、俺のことで巻き込んでしまって」
「……良いわ、全然」
「それより貴方、名前は?」
「あ、俺は鬼喰玄弥です」
「じゃあ、玄弥くんって呼んでも良いかしら」
「あ、はい」
「俺はなんて呼べば……」
「私のことはカナエでいいわよ」
「か………カナエ?」
「ええ!それと、敬語もやめてね?」
「え……わ、分かった」
「ふふっ、ねぇ錆兎くんに義勇くん、玄弥くん可愛いわね?」
「だろ!カナエ!」
「玄弥可愛いよね?!俺達の子にしちゃう?!」
「いや何言ってんだよ義勇?!俺はお前らの子供にならねぇよ!!」
「あら、ごめんなさいね、私の屋敷に着いわ」
「あ、良いよ、こんな夜中に女の子を一人にできないからさ」
「そうだぞ、男たるもの、女を一人にできる訳ないだろ」
「それにカナエ、すっごい美人さんだから、きっと変態に襲われるかもしれないしね!」
「まぁ、そん時は俺らがそいつぶっ殺すけど」
「あらあらまぁまぁ、気がきくわねぇ、けど、私は強いから大丈夫よ」
「確かに、あそこで無傷だったもんな」
「ふふっ、さ、もう遅いから帰ってね?」
「おう!」
登場人物
錆兎(13)
水の呼吸の隊士
義勇と玄弥と胡蝶姉妹と同期
冨岡義勇(13)
玄弥と胡蝶姉妹と錆兎と同期
錆兎と同門
胡蝶カナエ(13)
玄弥と同期になった隊士
鬼喰玄弥(13)
今回、晴れて隊士になった
呼吸を使えるので、傷が少ないと言うよりほとんどない
錆兎と義勇の命の恩人的な存在
つい『呼吸が使えないから』と言うことを言ってしまう
自己肯定感は未だ低い