テラーノベル
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しなもん ここあ たん .ᐟ
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自分へのご褒美、、、の筈が、――夜、自宅。灰色の街並みに囲まれた部屋で、俺はひとりの時間を堪能するつもりだった。
ブロッコリーの熱々グラタンをオーブンから取り出し、トマトスープを煮込みながら、鮭マヨペッパーサラダを皿に盛りつける。ハムエッグも綺麗に焼けた。机の上に料理が揃って、心の中で小さく頷く。俺は中国――紅星。自分で作る飯は、安全で、誰より信用できる。今月も終わりに近く、仕事は片付けた。明日は休日。だから今日は、ようやく自分へのご褒美だ。
あとは酒を開けるだけ。そう思ってグラスに手を伸ばした瞬間――、
窓の外から、じとっとした視線を感じた。
……は?
ゆっくりと目だけを動かし、カーテンの隙間を確認する。想像通りだった。暗い夜の中、氷のような気配が張り付いている。いや、あの視線は間違いない。ロシア。鬱陶しい氷の怪物。なんでお前、こんな時間に窓の外にいるんだ。
た、楽しめねぇッ!
心臓が跳ねた。舌打ちしたい気持ちを堪える。暇か、あいつは? 暇だったわ。明日も休日だし。くそ……。
アイツ、確か酒好きだった気がする。いや、そんなことは知ったこっちゃない。というか、知りたくもない。でも――視線が重い。まるで「呼べ」と言われているみたいだ。俺は死んだ魚の目のまま、心の中で悪態をつく。
確かに、来週用に作り置きの料理はまだある。だが、なんで俺が、俺の休日の酒の時間に、お前の相手までしなきゃならないんだ。
窓の向こうの影は、微動だにしない。氷みたいな気配が、じわりと胸に重くのしかかる。俺は深く息を吐き、仕方なく椅子を引いた。胃が死ぬ未来が、もう見えている。
――こんな夜くらい、静かに飲ませろよ。
心の中で呟きながら、俺はロシアに電話をかけた。
コメント
1件
ライチジャムさん、読みました!「自分のご褒美」のはずが、窓の外のじっとした視線で一気に日常が侵食される感じ、すごくリアルでした(笑) ブロッコリーグラタンやトマトスープの細かな描写が美味しそうで、そこにロシアの氷のような気配が重なるギャップが面白い。最後、仕方なく電話をかけちゃうところに、主人公のツンデレ感と人間臭さが出ていて好きです。お疲れ様でした!