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※このお話を読むときのポイント💡
情景や、登場人物達を自分の自由に想像しながら物語を読むと、より楽しめますよ♪
第十章 夏休み
〈ひゃっほ〜いっ!〉
真夏の暑く青い空
見渡す限りに青々とした景色
そう、僕らは海に来たのだ
発案者は清水だった
清水曰く、
『夏といえば、海だろ!』
とのこと
友達と海なんて初めてだ
…友達って思っていいのだろうか
疑問に胸がもやもやとするが、波の音とともに消えていく
いや、きっとそうだ。きっと、僕は2人の友達なのだろう
僕がそう思いたいだけかもしれない
それでもいい、そう思えるようになった
二人のおかげで
ここ最近、僕は明るくなったと思う
虐めもなくなり、周囲とも馴染めるようになってきた
今までは、一人で過ごしていた毎日に輝きが戻った
僕の机の周りには友人と呼べる人が増えた
これも、日比谷さんのおかげだな
ついでに清水も
『おーい!何ぼさっとしてんだ〜?』
〈早く海入ろー!〉
「うん、!」
2人の呼びかけに僕は明るく、前向きな返事をした
「水着なんて何年ぶりだろ…」
『それなー、久しぶりだよな』
〈私は去年も着たよ〜〉
『お前は友達多いからだろ!w』
〈それは涼も同じでしょー?w〉
なんて、仲睦まじい様子で話している
こんなふうに3人で話せるのも、あと数ヶ月だ
大学が違えば、会える頻度も減る
もしかしたら、もう仕事に就くかもしれない
これからの道は、人それぞれだ
だから、もうこの3人で笑い合える日なんて、少ししかないんだ
でも、僕は二人のおかげで明るくなれたから
最後まで、悔いのないように過ごしたいと思うようになった
〈ほら!ご飯きたよー〉
『うまそー!✨️』
僕らは海辺にあった海の家で昼食を頼んでいた
僕は、海鮮丼
清水は、焼きそば
日比谷さんは、カレー
「……二人の、どこでも食べられるくない…?」
「てか、そんなの売ってるの?」
「日比谷さんのは、山って感じじゃん…」
『わかってねーな〜、琉生!』
〈わかってないよー、琉生ーw〉
【海で普段食べないものを食べる新鮮さがいいんじゃん!】(二人)
「同時に同じこと言わないでよ…w」
二人曰く、
何やら、普段海では食べられないものや、予想外のものがいいらしい
僕にはやはりわからないものだ
僕は定番を頼みたい
二人は新鮮さを求める
……まあ、これも個性か
なんて、ポジティブに考えた
「あ、そういえば」
「来週、写真部の活動で山へ行くよ」
〈え〜、山ー?〉
〈日焼けしちゃうし、虫いっぱいじゃん!〉
「今まさに日焼けしてて、カレー食べてる人に言われたくないね」
『や、山!?!?』
『むりむりむりむり!』
「ど、どうした…?」
『っ…、俺、高い所苦手なんだ…!!』
『どーしよー!!泣』
「そ、そんな泣きつかれても…」
〈へぇ〜…?ニヤニヤ〉
〈運動も完璧な涼くんにも苦手なものがあったんだねーw〉
「無理だよ、場所変更は部長に言って」
『お前副部長だろ!』
「全ての決定権は部長にあります」
『くそー!泣』
どうやら、清水は意外な弱点があったらしい
清水が高所恐怖症とは、なかなかに面白いものだ
〈てか、山に何をしに?〉
「えっとね、」
僕は持っていたスマホを手に取り、予定表を確認する
「夜景や、星空を撮りに行くみたいだよ」
〈え!星空!?やったー!〉
「さっきまであんなに嫌がっていたじゃないか…w」
〈それと、これとは違うの!〉
同じように思えるが…
まあ、口にはしないでおこう
面倒になりそうだ
僕らは、昼を食べ終え、再び水の中へと沈んでいく
僕は意外と泳げる方なので、水の中へと進む
日比谷さんは先程借りた、浮輪を
清水はまたもや以外にビート板を借りていた
水の中から見る景色はとても綺麗だ
何もかも透明で、嘘などついていない
人のような、腹黒いことなどない
醜いことなどない
だが、水の底は暗い
見えないほどに遠く、深く、暗闇が続く
ああ、どこも同じなのだな
なんて、思ってしまう
でも、上を見上げると太陽の光が水中に差し
まるで花火のように虹色に見える
反射して、跳ね返り、僕の目に届く
とても美しい
この場にずっといたいと思ってしまうほどに
暖かくて、優しくて
でも、僕はこの気持ちに名前をつけられない
わからない
ただ_
今はただ、
陸の方で手を振る二人のように、変われるように
二人の横に並べるように
並んで、歩けるように
進むだけだ
第十一章星空の宝石箱
〈ほら〜!はやくはやく!!〉
僕らは今、山の中腹にいる
先程、バスに揺られ2時間ほど
山の麓の駐車場についた
そこから先は登山なのだという
「な、なんでぇ…、登山なんて聞いてないぃ…」
『る、琉生っ、!離れるなよぉっ…』
なんかお荷物もいるし…
高所恐怖症は大変だな、なんて思いながら
足は失速していく
「はぁはぁ…はぁ…」
〈ほーら!二人ともはやくー!〉
相変わらず、明るく元気だ
その元気、分けてほしいくらいだ
「ま、まって…!なんで、そんなに、早いの…!?」
〈え、根性?〉
答えになってない……
疲れすぎて、返事できなかった
声が出かけたが、今は歩くことに専念しようと思った
「つ、着いた〜…!」
『はぁはぁ…、なんとか持ちこたえたぜ…』
持ちこたえてすらないだろ
体力も精神も終わってるだろ…
と、薄々感じてはいるが、口には決して出さない
これは僕なりの配慮である
山の上部にある、貸切の山荘
とても静かで、部員数が少ない
…のはずなのだが
〈いぇ〜いっ!!〉
【ふぉぉおお!!】(部員)
「うるさ…」
「静かだと思ってたのに……」
『それは俺も思った…w』
『けどさ、これはこれでいいんじゃないか?w』
「……そう、かもね」
曖昧な返事だったかもしれない
でも、僕には精一杯な返答だった
正直、うるさいとも思う
だけど、それ以外の_、何か別の思いもある
これは、なんだろう…?
〈ほらほら!琉生達も混ざっておいでよ〜!✨️〉
いかにもキラキラとした顔と口調で言わないでほしい…
断りづらくなるじゃないか
恐らく、だ
日比谷さんはそれも見越して、わざとキラキラとした顔をしているのかもしれない
僕らが断りづらいように
まあ、どっちだっていいが
『はいはい〜』
「今行くよ」
僕らは端的に言葉を返し、うるさくて賑やかで
居心地のいい場所へ向かった
そこでは、皆々顔を合わせて、ボードゲームをしていた
人生ゲームや、トランプ
色々なボードゲームを持ち寄せていたようだ
なんとも用意万全だ
そこから、数時間と様々な種類のゲームをした
時には笑い合い、騙し合い、悔しがったり
感情が常々飛び交う中で、僕も同じように笑ったりできていただろうか
…わからない、
でも、できていたと信じてみよう
『お!そろそろ時間じゃねぇか?』
「本当だ」
そう、僕らの目的はボードゲームをすることではない
この時期、決まった時間帯に流星群が降るのだという
それらを僕らは撮りに来たんだ
〈いこー!〉
〈うわっ…さむ……〉
『本当だ…夏のはずなのに』
そりゃそうだろ…、夏でも山の中の夜中
それはそれは寒いだろう
半袖の部屋着の上から軽く上着を着て、
玄関のドアノブに手をかけ__
扉を空けた
〈わあぁぁ〜!✨️〉
〈なにこれ!めっちゃきれい!✨️〉
『本当だなぁ…、すげー綺麗…』
うんうん、と僕も頷く
「清水、下大丈夫なの?」
『ん??』
下は、途中からロープーウェイで登ってきたから、崖のような高さだった
『ひいぃぃっ!』
『言うなよっ〜…!気にしてなかったんだから!』
「それは残念だ」
と、指をさす
山荘の下は、歩いてきた道などが灯籠の光などが光り始め、幻想的な景色を作り出していた
『すげー!✨️』
『歩いて来たとこじゃねぇか!』
と、先程までの情けない感情は消え失せ、見入るように眺めていた
部員のみんなも、各々好きな方向などを向き、一眼レフを向ける
僕も、眼ではしっかり見た
だから僕も自前のカメラを向ける
カメラのフィルムから見える景色は、先程見えた景色より四角く、狭く、でも本当に宝石箱のように見えた
僕は何枚か撮り始めていく
日比谷さんと清水は見入りながらも、スマホで撮影を始める
「あっ、流星群始まった」
『まじかっ!』
〈どこどこ!?〉
あそこだよ、と指をさす
みな、お〜…と、声を上げて、文にはできない思いをぶつける
僕はパシャパシャと、シャッターを押していく
その1枚に、日比谷さんが写ってしまった
左右に森の木のシルエットが
空には一面の星空と流星群が
向こうの方には灯籠の明かりが
中心には日比谷さんが後ろ姿で手を伸ばしている
まるで、宝石をつかもうとしているかのように
あれがほしいと、唱えているみたいに
「あ、」
でも、これでもいいか
なんて思って、この写真を保存した
次回十二章:花火の丘で