テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
模試の答案、90点。
それでも母親の顔は曇ったままだった。
「ここ、どうして間違えたの?」
目の前に答案を突き付けられ、
間違えた記号の部分をなぞられる。
「本当に志望校、大丈夫なの?あんた最近、気が抜けてるんじゃない?」
耳に刺さる声ばかりが、
頭の中をぐるぐる回る。
自分で自分を肯定できる
瞬間が一秒もなかった。
結果だけが見られ、失敗は爪弾き。
そんな日々に嫌気がさして、
学校で居場所を探すけれど——
昼休み、ノートを開くふりをして
横を見ると、
トラゾーたちが新しい話題で
盛り上がっていた。
しにがみくんが誰かに
「クロノア、最近どうしたんだろうね?」
と聞かれている。
sn「勉強大変なんじゃないんですかね?」
遠くからその声が柱みたいに
静かに重なり合う。
「ちょっとしんどそうだよな」
「まあ真面目だしな、昔から」
その
“真面目だしな”
が壁のように感じられて、
何も返せないまま、
そっと席に座り直す。
放課後。
今日もみんなでゲームをするらしい。
一応「来れる?」とLINEが来たが、
まるで社交辞令のように見えて
指が動かなかった。
kr「勉強あるから無理」
自分で自分をまた閉じ込める。
その繰り返しで、
それ以外の返事が分からなかった。
夜。
自室で音楽を流し、
ヘッドホンを耳に着けず
密かに流れ出る音楽を聞く。
けどどんな音も、
家族の声も、
友達の楽しそうなLINEも、
全部遠くの世界の雑音のように
聞こえるだけだった。
親はリビングで
「塾のコース増やした方がいいんじゃないか」
とか話している。
明るいニュースも将来の希望も、
自分の部屋には届かない。
スマホを握ったまま、天井を見上げる。
心のどこかで、
「誰か気づいて」
と叫んでいるのに、
その声は、
誰にも——
自分ですらさえも——
聞こえなくなっていた。
ただ静かな夜だけが、
またひとつ増えて、
俺の奥の方にある黒い部分に染まって
少し色が濃くなったような気がした。
コメント
4件
塾のコース増やされるマジか… krさんも、みんなと遊びたいだろうな〜 誰かが救ってくれることを祈ります
やっぱ、表現天才だわ、なんか、AIにまとめて貰ったって🥀ちゃん言ってたけど、そのAIも🥀ちゃんも天才! てか、最後の表現がさぁ、、 最近うち鬱だから、めっちゃ刺さるわぁぁ