————雨宮くんに謝らなくちゃ。
自分の女性としてのプライドとか、相手からどう見られたいとか、そんなことは雨宮くん相手に関係がないことだったんだ。
私が怒っていても、呆れるくらい酔っていたとしても、どんな私の横にも当たり前のように居てくれた。
そんな雨宮くんの勇気を、自分勝手な理由で拒否するなんて、私はどうかしていた。
(だけど、なんて切り出したら)
現在の時刻は21時。いつも通りの残業で、ちょっと前に私達に気を遣い、早めに雫が帰って行った。
そして、オフィスにはまたもやいつも通り、私と雨宮くんが残っている。しかしいつもと違うのは、視線も合わず、会話もないこと。
「……雨宮くん」
パソコンのキーボードを打つ音だけが響く空間を裂くように、勇気を振り絞って雨宮くんの名前を呼ぶ。
その声で雨宮くんはピタリと手を止めた。
「なに?」
「もう私帰れるけど……そっちはどう?」
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