テラーノベル
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莉奈から受け取った裏の顧客リストを精査し、 信頼できる経済記者にリークした翌朝のこと。
私の新しい職場の前に、見慣れない黒塗りの車が数台停まっていた。
出社しようとする私を遮るように、体格のいい男たちが立ちはだかる。
「詩織さんですね。少しお話があります」
「え?」
「…前の会社との機密保持契約に抵触する可能性がある。同行願いたい」
以前の私なら、この威圧感だけで足がすくみ、言われるがままになっていただろう。
けれど、今の私は違う。
私は無言でスマホの画面を彼らに向けた。
「……現在、この場所の映像と音声は、私の弁護士、および提携している警備会社にリアルタイムで転送されています」
「あと30秒以内に退かなければ、警備員と警察がここに到着します。……公道での不当な拘束、強要罪として立件しますがいいですか?」
男たちが顔を見合わせ、舌打ちをして道を開けた。
直樹がいたあの会社は、高木常務を切り捨ててもなお、自らの「癌」を隠し通そうと必死なのだ。
オフィスに入ると、私のデスクに一通の封筒が置かれていた。
中には、私が現在進めている大型プロジェクトの資料を盗用したという「捏造された告発状」と、数枚の写真。
写真には、学校帰りの陽太を遠くから盗撮したものが混ざっていた。
(……汚い。本当に、どこまでも汚い人たち)
彼らは、私のキャリアと
何より私の「宝物」である陽太を人質に取れば、私が屈すると思っている。
だが、その卑劣な一手が、私の復讐心に最後の一滴の油を注いだ。
私はすぐさま、提携しているIT企業の法務部長───
今の私の実力を正当に評価してくれる強力な味方に連絡を入れた。
「部長。例の件、予定を前倒しにします。……あちらが『汚い手』を使うなら、こちらは『完璧なルール』で押し潰します」
昼休み、私はテレビ局のスタジオ裏にいた。
リークした経済記者が、夕方のニュースで特報を打つ準備を整えている。
「詩織さん、本当にいいんですね? 公表すれば、あなたの元夫だけでなく、多くの有力者が職を失う。あなたへの逆恨みも……」
「構いません。1円の誤差を許さず、正しく計算するのが私の生き方ですから。……不正という名の『負債』を抱えたまま、誰かが甘い汁を吸い続けるなんて、私の帳簿には許容できません」
◆◇◆◇
夕方
ニュース番組のトップで、あの会社の裏金問題と、反社会勢力との不適切な関係が報じられた。
画面のテロップには、実名で高木常務や関連役員、そして「実行犯」としての直樹の名前が躍る。
私は会社の会議室で、その放送を静かに見守っていた。
スマホの通知が止まらない。
直樹の元勤務先の株価が暴落し、警察が本社に家宅捜索に入ったという速報。
「……まずは一歩目ね」
不正を働いた者たちが、自分たちが築いた砂の城の中で右往左往している。
直樹
あなたが守りたかった「エリート」の肩書きも
あなたが憧れた「特別な世界」も、すべて私がこの手で解体してあげたわ。
【残り74日】
#ざまあ
#裏切り
#モテテク
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