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《神話を超える双星の勇者》
第6話:「神託の真実」
 
 ベルナ村での戦いを終えたカイ、リナ、セリア、レオンの四人は、いよいよ次なる目的地であるルミナスの神殿へと辿り着いた。
神託に関する真実を知るため、そしてさらなる試練に挑むため、四人は神殿の大理石の門をくぐった。
 
 ■ ルミナスの神殿
 神殿の中は静寂に包まれ、無数の燭台が淡い光を灯していた。古びた石の壁には、遠い昔に描かれた神々の紋章と伝説が刻まれている。
 「ここが…神託の地…」
リナは息を飲みながら、神殿の奥を見つめる。
 カイは剣に手を添えながら、静かに歩みを進める。
「気を引き締めろ。ここには何かが待っている。」
 セリアは魔法の杖を握り、周囲を警戒していた。
「この神殿、ただの遺跡じゃない。…強い魔力を感じる。」
 レオンは薄く笑みを浮かべた。
「なら、試練が来るってわけだな。」
 
 ■ 神託の間
 神殿の最奥に辿り着いた四人。
そこには巨大な石碑がそびえ立ち、神話の一節が刻まれていた。
「双星の勇者現れし時、世界は救済の光か滅びの闇か、いずれかの未来に導かれる。」
「兄は剣の光として世界を救い、妹は影の闇として世界を滅ぼす運命にある。」
 
 
 リナはその言葉に立ち尽くした。
「……やっぱり、私が滅びの存在なの…?」
 目の前に突きつけられた運命の言葉。リナは拳を強く握りしめた。
 
 ■ 神の声
 その瞬間、神殿に響く低い声。
 「汝ら、真実を知りたいか…?」
 光が集まり、神の幻影が姿を現した。
それは、神託を下したイーグの幻影だった。
 「双星の勇者よ。お前たちの運命は、すでに定められている。抗うことなど、無意味だ。」
 カイは剣を握りしめ、言い放った。
「それでも俺たちは抗う!運命に従うだけなんて、絶対に嫌だ!」
 リナも震えながら立ち上がる。
「私だって…!運命に縛られたくない!努力して、兄さんと一緒に戦えるようになるって決めたの…!」
 神の幻影は静かに告げる。
「ならば、試練を受けよ。お前たちの覚悟を、ここで示せ。」
 
 ■ 運命の試練
 その瞬間、神殿の床が崩れ、四人は異なる空間に引きずり込まれた。
 
 リナの試練
 リナは真っ暗な空間に立っていた。
目の前には、闇に染まった「自分自身」が立っている。
 「お前は滅びの存在だ。努力など無駄だ。どうせお前は、最後に世界を滅ぼす存在なのだから。」
 リナは震えながらも剣を構える。
 「そんなこと…ない!私は…兄さんと一緒に戦うために努力してきた!私は…私自身の運命を、自分で決める!」
 リナは闇の自分に立ち向かい、渾身の一撃で闇を打ち払った。
 「私は…私を信じる!兄さんを信じる!この絆を信じる!」
 闇が消え、光がリナを包んだ。
 
 カイの試練
 一方、カイは巨大な剣士と対峙していた。
その剣士は、まるで未来の自分のようだった。
 「お前は本当に妹を信じられるのか?滅びの存在である妹を、最後まで守れるのか?」
 カイは剣を構え、強く答える。
 「リナは滅びの存在なんかじゃない。俺は妹を信じるし、最後まで共に戦う。それが俺の覚悟だ!」
 激しい戦いの末、カイは剣士を打ち倒した。
 「リナは俺の誇りだ。俺は、リナと共に運命を超える。」
 
 ■ 兄妹の絆
 試練を終えた二人は、光の中で再び出会う。
 リナはカイに駆け寄り、涙を浮かべながら言った。
 「私…自分のこと、信じるって決めた。兄さんと一緒に…運命を変える!」
 カイは妹を抱きしめ、優しく囁く。
 「俺もだ。絶対にお前と一緒に運命を超える。」
 その絆は、確かなものだった。
 
 ■ 神託の超越
 試練を乗り越えた四人は再び神の幻影の前に立つ。
 「試練を越えたか…。ならば、お前たちは自らの意志で未来を選ぶがいい。」
 そして神の幻影は消え、石碑の文字が書き換わった。
「双星の勇者、運命に抗う者たちよ。汝らの努力と絆が、未来を紡ぐであろう。」
 
 
 
 ■ それぞれの誓い
 神殿を出たリナは、空を見上げながら呟いた。
 「私…もう迷わない。兄さんと一緒に、未来を切り開いてみせる。」
 カイも強く頷く。
 「絶対に、神託に勝ってやる。俺たちの力で。」
 レオンは小さく笑った。
 「悪くない決意だな。…俺も信じよう。お前たちの未来を。」
 セリアは静かに呟く。
 「本当の戦いは、これからだ。神を超える戦いが。」
 
 こうして、四人は新たな決意を胸に旅立った。
 運命に抗う旅は、まだ始まったばかり。
だが、兄妹の絆は、確かに運命すら超える力を秘めていた——。
 
 第6話・完