「お帰りなさいませ、リース様」
「ただいま、メルテル」
家帰って自分の部屋へ戻ると侍女のメルテルに上着を預けてシャワーを浴びて着替える。
少し部屋でくつろいで居ると扉をノックされる。
「リィ兄様かえってきたの?」
「嗚呼、入っておいで」
声をかけると扉を開けて可愛らしい顔がこちらを覗き、すぐに僕の所まで来る。
美しいブルーグレーの長い髪に大きな青いリボンを付けてポニーテールにしている。
アパタイトの様な大きな蒼い瞳が僕の瞳を真っ直ぐに見つめる。
妖精の如く身内でも見惚れるほど可愛らしい容姿を持つ彼女の名は、レルフィリア(愛称レリア)。
僕の妹だ。
「おかえりなさい!リィ兄様っ!」
「ただいまレリア」
レリアが僕の胸に向かって両手で広げるので抱きしめて頭を撫でる。
「あのね!私リィ兄様といっしょにぶとうかいでおどるためにダンスをいっぱいれんしゅーしてるのっ!」
「そうなのか、僕と一緒に舞踏会で踊ってくれるのか?それは楽しみだな」
婚約者の居ない令嬢は相手からの誘いを待つか家族と踊って過ごす。
レリアに婚約者はまだ居ないため僕が代わりにエスコートするのだ。
「リィ兄様!さっそくいっしょにれんしゅーしましょ!」
「嗚呼、分かった」
*¨*•.•*¨*•.¸¸•*¨*•.¸¸♬︎ ミギュ
「イタッ!」
「わ、ごめんなさい!リィ兄様!」
「はは、大丈夫だよレリアもう一度練習しようか」
「はいっ!(ニコッ」
「(可愛い)」
ダンスの練習中何回か足を踏まれるが、一生懸命頑張っているので良しとする。
レリアの淑女教育を担当しているアリン先生からは始めはかなり酷かったらしく本人は落ち込んでいたらしい。
だけど僕や家族に恥をかかせないために沢山練習して上達したらしい。
「レリア凄く頑張ってるんだね、僕らのためにありがとう。一緒に踊るのを楽しみにしているよ」
「! はい!私がんばってじょうずにおどってみせますわ!」
ふふ、可愛いなぁ。
こんな可愛い妹に恵まれて、両親からも愛されて僕は凄く幸せだと思う。
でも、僕はレリアに本当の性別を明かしていない。
僕は男だと嘘をついているのだ、
このことは出来れば早く打ち明けたいが、本当のことを言って嫌われてしまったらどうしよう。
そんな不安を感じたが、心に仕舞い明日を迎えた。
家族で僕の性別を知らないのはレリアだけ。
大切な家族に隠し事はしたくない。
でも、純粋で明るい闇を知らないレリアにこの事実を隠し通すことが出来るとは思えない。
やはり両親の言う通り12歳になった時に言った方が良いのだろうか……。
どちらにしろ後4年。
兄でも姉でも好かれるよう、レリアと関わって行こう。
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