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柘榴とAI

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その光は僕を急速に、見知らぬ世界へと連れて行きました。初めて見る景色のはずなのになぜか、心のなかでは地にようやく足のついたような、そんな不思議な安堵感がありました。
僕の周りには、たくさんの音がありました。聞いたことのない音です。なんといえばいいのか、初めての音なので表現が難しいのですが、多分、息の音です。この、そこらぢゅうにいる生物の、慌ただしく呼吸をする音なんだろう、と僕は思いました。
なにか急に、この世界を構成する要素が増えたような気がします。色が、光が、感覚が、匂いが、音が。僕の頭の範囲からずっと飛び抜けたところまで、その要素は積み上がっているようです。もちろん、バランスの悪い僕のとろけた脳みそでは、そんな不安定な情報たちは倒れてしまいます。僕には処理しきれません。上下の概念が回ります。やがて、地面と顔が接触していることに気づきます。
そのまま僕はじっとしていました。なぜなら、じっとしていてもいいと思ったからです。生物と目が合います。僕の目よりずっと高いところの目で、僕の目をみます。誰も近づいてはきません。それがなぜか心地よくて、僕は太陽の光に焼かれながらそのままを優雅にすごしました。
あ、仕事、と思い出したのは少し経ってからです。そうでした。僕にはお仕事があります。生きるための、働くための、また生きるための、お仕事です。忘れてはいけない、欠かしてはいけない、それがお仕事なのです。とはいったものの、お仕事場はどこなのか、全く覚えていません。いつもは、ただ白い一本道を行くだけだったのに。なにかしら、世界は変わってしまったのでしょうか。
「だ、だいじょうぶですか?」
何か僕に、話しかける生物がいます。このあたりをうろちょろする、そんな生物の群れの、一人です。目には黒い額縁が、瞳を飾るようにかかっているのです。
「僕は地面に転げています。仕事への道は分かりません。あなたは誰ですか」僕はこの生物と話ができるようでしたので、声を発してみました。
「ぼ、ぼくはたすらぎです。たすらぎ」
「たすらぎ?」
そう、コミュニケーションは、息継ぎをするようにするもの。て、これは、誰の言葉?
コメント
1件
うわ、この世界の入り込み方、めっちゃ好きだわ。主人公の「情報が倒れる」「上下の概念が回る」って感覚の描写がリアルすぎて、自分もクラクラしてきた。初めてなのに安堵するっていう矛盾した感覚、これからどうなっていくんだろう。たすらぎって人の登場も気になる。続きが待ち遠しい🔥