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『プロローグ』失踪
深夜の東京千代田区。東京駅。平日にも関わらず一日に数人の外国人観光客、そしてサラリーマンたちがこの駅を利用している。1914年(大正3年)に建造されて以降、東京から各区へ向かうための窓口として東京都民から親しみを受けている。そんな東京駅だが、近年になってとある噂がSNSで話題を呼んでいた。
「東京駅の丸の内中央地下改札には大正の建築途中に封鎖された幻の通路が存在するらしい。東京駅が建つ前そこには神社がありそしてそこには神社を壊され怨霊と化した何かがいる。」
いかにも嘘のような内容だが、その信憑性は限りなく0に等しい物ではなかった。地下改札周辺は道が変に入り組んでおりなぜここで曲がるのか、と利用者の指摘を買う造りをしているからだ。実際、ある一箇所にある通路は高確率で立ち入り禁止の看板が建てられており、近年のSNSの話題から注目されるようになり迷惑系配信者が後を絶たない。そして今夜も、迷惑系を推進するとある配信者たちがやってきた。
『一話』定
深夜の東京駅。終電はとっくに終わってる時間帯に5人組の男女組が現れた。夜中にも関わらずキャッキャと声を上げ真っ暗な東京駅に向かってくる。いずれも男の方はステッキの付いた配信用カメラを振り回している。
5人組男女は何の躊躇いなく真っ暗な駅構内に入っていった。駅構内は昼間の活気な雰囲気とは一変しどこか不穏な空気を漂わせている。先頭に立ちカメラを振り回していた金髪でサングラス姿のチャラい男、千籬有司が場違いなほど浮かれた声で振り向きざまに出した。
「はーい、TYチャンネルのチマセでーす。今日はメンバー連れて今話題の東京駅に来てますー。」
有司が配信カメラを後ろを歩いていた4人に向けた。いずれも男女、カップルだ。皆有司と同じく真っ暗な空間とは場違いなほどチャラく、カメラに向けて呑気に手を振り返す。カメラの奥では生配信がされており配信タイトルは『【東京駅】立ち入り禁止の場所入ってみた ※やばいかも』という何とも間抜けなタイトルである。
「…SNS見てるけど、結構叩かれてるよ。俺たち」
4人の中にいたマッシュヘアにスマホを片手に持つ山善竜が口を開いた。SNSではすでに生配信が拡散されておりそれを見た一部のネットユーザーが彼らを叩いていた。しかし裏腹に配信への支持者も多く、ネット上での噂を理由に配信を支持しているネットユーザーがほとんどだった。
「竜っちそう気にするなよ。俺たちはネットにエンタメを提供するのが仕事だろ〜?配信開始から数分で高評価が1.1万だぜ?やめれるわけないっしょ」
有司は相変わらずニヤけて竜のSNSの報告を軽く流した。
「そうだよ竜くん。せっかく来たんだし楽しも?」
竜の横にベッタリくっついていた竜の彼女である野咲那々が笑顔で有司の言葉を肯定した。駅構内を進むに連れ窓等が少なくなり彼らの声が駅構内に反響する。外からの明かりも消え、完全に真っ暗な空間が広がっていた。5人はスマホのライトを頼りに進み階段を下っていく。
やがて5人は例の場所にやってきた。噂通り、改札を抜けて右折し進んだ所にその通路はあった。通路前には規制テープと立ち入り禁止の看板が建てられてあり錆や汚れを見ると設置されてからかなりの年月が経っている事が分かった。
「有司さん!噂通り本当にありましたね!」
彼女の華海美弥とくっつきながら南条辰也が呑気に言った。
「それじゃあ視聴者のみんな、さっそく行ってみよ〜」
有司はカメラを片手に何の躊躇いなく規制テープを靴で踏むように破ると規制線の内側へ入った。竜、那々、辰也、美弥も何の躊躇いなく有司に続いて内側へ入る。
規制線の内側は比喩なしで外より2℃ほど寒かった。おそらく良くない悪寒のせいだろう。しかし馬鹿には悪寒は分からないらしく5人は友人の自宅にズカズカ押し入る足取りで通路を進んでいく。 しかし、通路の奥へ向かうに連れ悪寒は酷くなっていく。
「有司さん…なんか寒くないですか…?」
「…あたしも何か寒い…」
初めに異変に気づいたのは竜と那々であった。竜に至っては長袖の上から腕を擦っている。
「えー?竜っちと那々っちヒヨってるんじゃない?俺たちこれまで多くの心霊スポット巡礼してきたじゃん?悪寒なんて序の口でしょ」
有司は二人を一瞥し配信カメラに自撮りした。すると、有司の肩に黒い手のような物が映り込んだ。カメラの奥には4人が映っており少なくともこの手が4人の手ではない事は明らかだった。有司は驚きながら慌てて4人へ振り向いた。
「ちょ!見た!?俺の肩に今手が!」
「いや〜影でも映り込んだんじゃないすか〜?」
「そうそう、てかビビってる有司の姿ウケるんだけど〜」
辰也と美弥は驚く有司を軽く流した。有司はカメラを見直す。
「いやいやマジで見たって!視聴者も見たでしょ今の手!」
有司は配信を見る視聴者を名指しした。コメント欄には見たと同情するコメントと『呪い』『天罰乙』などと有司を罵倒するコメントも多くあった。有司は再び4人に振り向いた。
「いやマジで見たんだって!さっき俺の右肩にあったから絶対見」
有司の言葉が途切れた。ゴッっと言う音と共に有司の足元のタイルに赤い血が滴り落ちた。顔からサングラスが外れ落ちる。
「えっ…?」
有司の脳の情報処理が処理落ちしていた。4人は有司の背後の何かを顔面蒼白で目を丸くして見ている。有司が目を下にやるとそこには鋭い刃物のような黒い何かが自分の腹部を貫通しそこから赤い体液が床に流れている。やがてアドレナリンが切れ絶頂するような痛みが有司を襲い彼は発狂した。
発狂した有司はカメラを激しく振り回した。その際、カメラが彼の背後を捉えた。そこには黒い人形の何かがいた。人間より背が高く頭部はT字型で多眼。それはやがて有司の腹部を裂くように鋭利状の腕を動かすと有司の銅が泣き別れになり血溜まりの地面に倒れた。その際、手にあったカメラは地面に落ちカメラのレンズが地面を向いたせいで配信画面が暗転した。
「キャアアァアァアァ!!!」
聞こえてきたのは那々の悲鳴だった。同時に4人が走って逃げる音が暗転した画面外から聞こえてくる。
「やめろ!!来るな!!!」
「辰也くん!!」
辰也の悲鳴と同時にまたしても耳を背けたくなるような断末魔が響いた。4回の悲鳴と肉を裂く音が聞こえ、画面外からの音は沈黙した。やがて画面には【NO SIGNAL】と表示され配信が強制的に終了した。
#創作
SUJ 一等海尉
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コメント
1件
おお、これめっちゃ好みのやつ!配信者たちの軽いノリと深夜の東京駅の不気味さのギャップがたまらんかった。有司が肩に手が映った時点で「あ、やられるやつだ…」って思ったけど、想像以上にあっさりやられてビビったわ。黒い人形のビジュアルも禍々しくて良いね。続き読みたい!