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「大丈夫ですか?」
ふらついた体を誰かが支えた。
人が多すぎて目眩がしたらしい。田舎者だって思われちゃうな、、、。
「あ、はい、、大丈夫、です。ハハハ、、。」
掠れた笑いをしてしまった。
相手の顔は見えない。でも、優しい人だな。
「よかった。気をつけてくださいね。」
そういうと肩に置かれていた手がそっと消えた。温もりがとだえ、また人混みでかき消されていく。
「ありが、あれ?もういない、、、。」
都会の人はみんな行動が速いなぁ。それだけ忙しいんだな。もう一度さっきの人に会えたらお礼を言わないとだな。
「えっと、ここで降りるんだっけ、、、?」
メモ書きしてきていたホテルまでの道筋を読み返す。確かここだ。名前もあってるから大丈夫だよね。
音を立ててドアが開く。
人が溢れていく水のように出て行く。
「うわわわわ。」
人に揉まれながらも無事、降りれた。
一息つこうとするが、人が多すぎて息すらできないみたいだ。
とりあえず、、
逃げたい!!!!!!
駅を早足で出た。
「次は、、、バスか、、、。ばすたーみなる、、、、どこだろ。」
看板を見ても、文字が多すぎて分からない。
ど、どこ、、、!?!?!?
看板を睨みつけた。
「もっと分かりやすくしてくれよ〜っ!」
「あの、何を探しているんですか?」
横に、青年が立っていた。
「あっ!えと、ばすたーみなるを探してて。」
「バスターミナルなら、ここを真っ直ぐいって、お手洗いを左に曲がったところですよ。」
青年は丁寧に看板を差しながら教えてくれた。
なるほど、このマークがバスターミナルか。
「ありがとうございます!!」
「よければ、この地図どうぞ、僕はもう覚えてますので。」
青年はそっと地図を出してくれた。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。だいたいの地図は覚えました!」
「えっ?」
「?」
なんで驚かれたんだろう。
まぁ、確かに迷子のくせに地図要らないって言うのはおかしいかな。
でも、看板見たからもう覚えたんだよなぁ。
記号や文字が多くて分からないけど、道は覚えたから、もう、大丈夫!多分ね、、、。
「そ、そうですか!では、これで。」
「あ!ありがとうございましたー!!!!」
手を振りながら青年が遠ざかって行く。
今日は誰かに助けられてばかりだな。みんないい人すぎるよ。ほんと。泣きそう。
「あ、ここかぁ。」
バスターミナル。
番号と、行き先を確認して乗り込む。
さっきよりは人が少ない。やっっっっっと、座れる!!!!よっしゃぁぁ!!
ゆっくりと座る。足が痺れきた。歩いたからなぁ。前はどれだけ歩いても平気だったのにな。これが平和ボケってやつか!!!
「お、おーーー。」
綺麗な街並みが飛び込んできた。
人が多すぎて見えなかったが、今は、見える。
街が明るい。元気が漲る。
一人一人が動いていて、考えているんだ。
そう思うと、人が多いのは幸せに感じる。
「仕事、がんばろ、、、。」
あ、
ロロに連絡してないや、、、。
ロロに電話したが、
案の定、怒られた。
「連絡こないし、電話には出ないし…。もぅ!何のために携帯あると思ってるの!!」
「う、、ごめん、、、。てんやわんやで、、。連絡するの忘れてたんだ、。ごめん。」
「……。今度はちゃんと連絡してね。」
「うん。」
「じゃ、お仕事、がんばってね。」
「うん。ロロもね。」
「うん。」
電話が切れた。
外は暗いカーテンに覆われ始めていた。