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22 - 表 十二話

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2022年06月13日

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「大丈夫ですか?」

ふらついた体を誰かが支えた。

人が多すぎて目眩がしたらしい。田舎者だって思われちゃうな、、、。

「あ、はい、、大丈夫、です。ハハハ、、。」

掠れた笑いをしてしまった。

相手の顔は見えない。でも、優しい人だな。

「よかった。気をつけてくださいね。」

そういうと肩に置かれていた手がそっと消えた。温もりがとだえ、また人混みでかき消されていく。

「ありが、あれ?もういない、、、。」

都会の人はみんな行動が速いなぁ。それだけ忙しいんだな。もう一度さっきの人に会えたらお礼を言わないとだな。

「えっと、ここで降りるんだっけ、、、?」

メモ書きしてきていたホテルまでの道筋を読み返す。確かここだ。名前もあってるから大丈夫だよね。

音を立ててドアが開く。

人が溢れていく水のように出て行く。

「うわわわわ。」

人に揉まれながらも無事、降りれた。

一息つこうとするが、人が多すぎて息すらできないみたいだ。

とりあえず、、


逃げたい!!!!!!

駅を早足で出た。

「次は、、、バスか、、、。ばすたーみなる、、、、どこだろ。」

看板を見ても、文字が多すぎて分からない。

ど、どこ、、、!?!?!?

看板を睨みつけた。

「もっと分かりやすくしてくれよ〜っ!」

「あの、何を探しているんですか?」

横に、青年が立っていた。

「あっ!えと、ばすたーみなるを探してて。」

「バスターミナルなら、ここを真っ直ぐいって、お手洗いを左に曲がったところですよ。」

青年は丁寧に看板を差しながら教えてくれた。

なるほど、このマークがバスターミナルか。

「ありがとうございます!!」

「よければ、この地図どうぞ、僕はもう覚えてますので。」

青年はそっと地図を出してくれた。

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます。だいたいの地図は覚えました!」

「えっ?」

「?」

なんで驚かれたんだろう。

まぁ、確かに迷子のくせに地図要らないって言うのはおかしいかな。

でも、看板見たからもう覚えたんだよなぁ。

記号や文字が多くて分からないけど、道は覚えたから、もう、大丈夫!多分ね、、、。

「そ、そうですか!では、これで。」

「あ!ありがとうございましたー!!!!」

手を振りながら青年が遠ざかって行く。

今日は誰かに助けられてばかりだな。みんないい人すぎるよ。ほんと。泣きそう。

「あ、ここかぁ。」

バスターミナル。

番号と、行き先を確認して乗り込む。

さっきよりは人が少ない。やっっっっっと、座れる!!!!よっしゃぁぁ!!

ゆっくりと座る。足が痺れきた。歩いたからなぁ。前はどれだけ歩いても平気だったのにな。これが平和ボケってやつか!!!

「お、おーーー。」

綺麗な街並みが飛び込んできた。

人が多すぎて見えなかったが、今は、見える。

街が明るい。元気が漲る。

一人一人が動いていて、考えているんだ。

そう思うと、人が多いのは幸せに感じる。

「仕事、がんばろ、、、。」

あ、

ロロに連絡してないや、、、。


ロロに電話したが、

案の定、怒られた。

「連絡こないし、電話には出ないし…。もぅ!何のために携帯あると思ってるの!!」

「う、、ごめん、、、。てんやわんやで、、。連絡するの忘れてたんだ、。ごめん。」

「……。今度はちゃんと連絡してね。」

「うん。」

「じゃ、お仕事、がんばってね。」

「うん。ロロもね。」

「うん。」

電話が切れた。

外は暗いカーテンに覆われ始めていた。

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