テラーノベル
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#異世界転移
花月夜れん
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#執着
さぶれ
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都築七美
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私が心から愛してやまない夫の涼二と出会ったのは、大学生になりたての春だった。
校内の脚本サークルで、彼は穏やかな笑顔で新入生の私に話しかけてくれた。理知的で落ち着いた雰囲気の彼は、まるで小説の中から出てきた理想の男性のようだった。人当たりがよくて誰に対しても公平で、優しい笑顔を見せてくれた彼に、私は惹かれた。
彼は脚本家になる夢を持っていたが、それではまったく食べて行けないから、そちらの道は半分諦める形で広告代理店会社『Mケート』へ就職した。会社で涼二は努力し、営業成績は常にトップクラス、上司からの信頼も厚く、後輩からも慕われている。結婚してからも彼は努力を惜しまない人だった。
週末には脚本の勉強をし、大きな賞に応募するために遅くまで脚本を書いたり、平日は残業をこなし、家計のことも真剣に考えてくれた。
私はそんな彼を支えたいと心から思ったし、同じ時間を積み重ねていけることに、確かな幸福を感じていた。毎朝彼を見送る時の「いってらっしゃい」、夜に彼を迎える時の「おかえりなさい」。そんな何気ない日常が、私にとっては宝物だった。
もちろんそこにはハグとキス、時々夫婦の営みも加わっていて、幸せな夫婦生活を送っていた。
けれど気づけばいつからか、彼は私ではなく、誰か別の女性を見るようになっていった。
涼二が変わったきっかけは些細なことだった。いきつけの美容院が改装で休業になり、たまたま入った新しい美容院で、担当の美容師が彼の髪型を最新流行のスタイルに仕上げてくれたのだ。
それまでの涼二は、真面目で堅実な印象の――どちらかというと地味な髪型をして太めの黒ぶち眼鏡をかけていた。オタクっぽい容姿で世間的に言えばパッとしない男性だった。私は彼の容姿で好きになったのではなく、彼の人となりに惹かれていたので、ぶっちゃけて言うと、涼二の容姿についてはどうでもよかった。
けれど、その日から彼は別人のように変わってしまった。
結婚生活が2年目を半分くらい過ぎたあたりで、思い切って婦人科を受診した。検査の結果、軽度の生理不順はあるものの、特に大きな問題はないと言われた。でも、なぜか子供はできなかった。
その頃から涼真の私を見る目が変わった。優しさの中に、どこか責めるような、失望するような色が混じるようになった。
「もう一回、検査受けてみたら?」
「生活習慣見直した方がいいよ」
「最近お肉もたるんでいるし、ダイエットした方がいいと思う」
とげのある言い方も増えた。でも、それはまだよかった。
最も辛かったのは、夫婦の営みが義務的になってしまったこと。排卵日を計算し、タイミングを合わせ、まるで作業のようになってしまった月イチの夫婦関係。
愛情よりも子作り目的――空しかった。愛する夫に大事にされたいという、妻なら誰もが持つ感情をうまく消化できずに、ことが終わった後に背を向けて眠られ、こっそり涙した。
昔のようにただ抱き合ったり、見つめ合ったり、触れ合うだけで幸せな気分になるには、どうしたらいいんだろう。あの頃の愛情を取り戻したいと切に願った。
やがて涼二は次第にその時間さえも避けるようになった。「疲れている」「明日早いから」そんな理由で、私から距離を置くようになった。そして気がつけば、私たちは完全にレスになっていた。
子供ができないのは、もはや私の体の問題ではなく、私たちの関係が冷え切ってしまったことが原因だということは明白で、涼二が私を抱いてくれることはなく、レスを解消できないまま今日に至る。
自分が悪いのだ、綺麗になる努力を怠ってしまったから――そう思ってジョギングを始め、3キロほど痩せた。ぜい肉になりかかっていた体を絞り、涼二との距離を詰めようと頑張っても、夫は私に見向きもしなくなっていった。
そんな辛い日々が続いて、結婚3年目を過ぎたころ、転機が訪れた。
ある日曜日の朝、涼二がシャワーを浴びている間、テーブルに置かれた彼のスマホに通知が届いた。見るつもりはなかった。でも、普段は裏向きになっているのに、その時は画面が上向きだったので、たまたま目に入ってしまった。
りさりさ:昨日はありがとう♡ 今度は理咲がお店選ぶね♡
そこには私の知らない女性の名前と、無邪気なハートマークが並んでいた。
表記名はりさりさ。私の知らない女性だ。
その瞬間、世界が静止した。心臓がきゅっと縮んで息が詰まって、目の前がぼんやりと霞んだ。血の気が引いて手足が冷たくなっていく。でも、不思議なことに涙は出なかった。
むしろ私は取り乱すこともなく冷静だった。今までの涼二の異変ですでに予感があり、心のどこかでこうなることをわかっていたから。
――夫が相手の女に本気かどうか、この目で確かめよう。
その夜、涼二が眠ったのを確認し、私は密かに行動を開始した。
彼のスマートフォンをチェックし、彼の行動パターン、不自然な外出を記録し、SNSで理咲や登録名の『りさりさ』という名前を検索し、記憶に焼き付けたアイコンを探した。
私はIT会社『Fシンス』に勤めてエンジニアをしている。検索やスマートフォンのチェックなんて造作もないこと。そういうわけで彼女のSNSに辿り着くのは簡単だった。
あっという間に『りさりさ』というアカウントに辿り着いた。今朝見たアイコンと同じだ。
コメント
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えっと…第2話まで読んだよ〜!😭💦 冒頭の幸せだった新婚時代のキラキラした空気と、今の冷え切った関係のギャップが胸にグサグサ刺さった…「排卵日計算して作業みたいな営み」って描写、めちゃくちゃリアルで苦しくなった。あと理咲からのLINE見つけた時の「涙は出なかった」ってとこ、逆にゾッとしたよ…完全に覚悟決まった人の目してる。 エンジニアのスキルで調査開始するとか、次の展開が気になりすぎる!!さぶれさんの心理描写、細かくて好きです🫶💕