テラーノベル
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山間の小さな村、霧野(きりの)は静寂に包まれていた。
今日は異様なほど霧が濃く、道を行き交う人々の姿はほとんど見えない。
大学生の「けんいち」は、卒業論文の資料を集めるためにこの村を訪れた。
彼が興味を持っていたのは、この村に伝わる奇妙な伝承だった。
村の中央にある祠には、古びた石碑が祀られており、その表面には不思議な文字が刻まれているらしい。
しかし、村人たちは気にしない。
まるで触れることすらタブーであるかのようだった。
「祠に近づくな。」
宿泊先の老人はそう言い残し、夜ごはんの話にした。
その夜、「けんいち」は眠れず、深夜にこっそりと祠を訪れることにした。
月明かりに照らされた石碑。そこには確かに奇妙な文字が刻まれていた。
しかし、その文字を見つめるうちに、彼は胸の奥がざわつく感覚を覚えた。
“真実を求めるなら、命を賭せ。”
石碑に刻まれていたその文字は、「けんいち」の脳裏に焼き付いた。
翌朝、村で一つの騒動が起きた。
村に住む少女、「あやか」が行方不明になった。
「けんいち」は住人たちと共に捜索を手伝ったが、「あやか」は霧のように消えている。
「けんいち」はふと思い立ち、再び祠を訪れた。
すると、石碑の前に少女の髪留めが落ちているのを発見した。
それは、「あやか」がいつも身につけていたものである。
さらに奇妙なことに、石碑に新たな文字が浮かび上がっていた。
“二つ目の鍵を見つけよ。”
「けんいち」は村の外れにある古い洋館を訪れた。
その館は長い間放置されていたようで、外観は崩れかけていた
が、中はどこか異様な雰囲気が。
館に足を踏み入れると、彼はすぐに異変に気づいた。
廊下の壁には奇怪な絵画。その中の一つに「あやか」のような少女の姿が描かれていたのだ。
その絵画の額縁には、またしても文字が浮かび上がっていた。
“真実の影に潜む三ツ目の謎。”
館の探索を続けるうちに、「けんいち」は地下室を発見した。
扉には複雑な模様が描かれており、まるで鍵を求めているかのようだった。
洋館で得た手がかりを元に、「けんいち」は村中を駆け回った。
そして、ついに『三つ目』を見つけた。
それは、村の歴史を記した古文書の中に隠されていた暗号だった。
暗号を解読すると、それは祠の石碑を開くことができるらしい。
「けんいち」は夜明け前に祠を訪れ、古文書通りに儀式を行った。
すると、石碑がゆっくりと開き、その中から信じがたい光景が現れた。
石碑の内部には、彩花を含む行方不明になった住民たちが横たわっていた。
そして、また新しい文字が浮かび上がっていた。
“鍵を見つけた者。このすべてを知る覚悟があるか。”
「けんいち」はその光景を目にし、決意した。
なぜ住民は祠に触れることをタブーとしたのか。
なぜ祠の文字が変わっていっているのか。
なぜ今にもこわれそうな洋館に新しい絵画がかざっているのか
なぜ祠と古文書はつながっているのか。
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