アイツが近づいてきた。
抱えた花束がよく見える。
色、は・・・
濃い赤、ピンク、オレンジ、白、黄、緑、青、青紫、虹色。
本数は9本。
前は4本…だった気がする。
種類はカーネーション…多分。
花のことは分からない。
でも、昔、アイツに教えられた…と思う。
あまり定かではない記憶だが、色と本数、花の種類にも意味があると、言っていた気がする。
アイツは男が好きだった。
記憶の中で好き好んで女といるところを見たことがない。
アイツの匂いが好きだった。
何でかは覚えてないが、とても好きだった。
前にも似たような光景を見た。
何かが思い出せそうだ。
カラッと晴れた日、容赦無く照りつける太陽、心地良い風、タバコ、カーネーションの花束…
いつの事だった。
思い出せるはずだ。
・・・そうか!
去年の今日、全く同じ天気の日、4本のカーネーションの花束を抱えてここまで来た。
そしてそれを置いていったはずだ。
手紙とあと、何かを言っていた。
「あ***、そして、**し**」
回線が悪い電話みたいにブツブツ切れて分からない。
ただ一つ分かったことは、去年の今日ここに居たという事だけだ。
アイツは何を言ってたかな…
コメント
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良かったら花束に隠されたメッセージを考察してみてください。そこからこの物語を読み解くヒントが得られるかも!