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後半です。最後までご覧くださいませ。ここまでこのお話をご覧いただきまして、誠にありがとうございました。最終章も、お楽しみいただけたら幸いです。それでは、どうぞ。
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灰色の空を見上げながら、僕はゆっくりと歩いた。
少女が消えてしまった世界は、驚くほど静かだった。
風が吹くたび、白い灰が舞い上がり、視界を霞ませる。
どこを見ても、だれもいない。
焼け落ちた建物、大破した道路、黒く焦げた地面。
____これが、僕の”本当の世界”。
少女の最期の言葉が、胸の中で何回も、何回も反響する。
「現実、に戻るよ。そしてね、最期、になる。」
現実、とはそういうことだったのか。
最期、ってどういう意味だろうか。
それが何なのか、僕はまだ知らない。
歩き続けるうちに、鮮血の色に染まった炎の近くにまで来た。
街が、人が、燃えている。
叫び声が聞こえる。
泣いている声も。
阿鼻叫喚だった。
地獄よりも残酷な風景だった。
子供も、大人も、みな焼かれている。
服を身にまとっていない女性と男性が、子供を必死にかばっていた。
黒い影が、崩れ落ち、灰と混じった。
僕は、その光景を目にするだけで、胸が詰まり、いつの間にか頬に涙が伝っていた。
こんなにも残酷な景観を目にするとは思っていなかった。
何もかも失ってしまった今、この光景を空っぽな心で見続けることしかできなかった。
もう、何にもないんだな。
そう思うと、むなしくて、胸が締め付けられ、また涙が零れ落ちた。
歩き続けるうちに、遠くで低い音が響いた。
空気が震え、地面がわずかに揺れる。
雲の切れ間から、黒い影が姿を現した。
巨大な金属の塊。
翼を広げた無機質な獣。
胸が締め付けられた。
「少女」、の言う最期、が何なのか今理解した。
「これ、だったんだね、果暖…………..」
果暖は知っていたんだ。
僕が現実に戻った先に何が待っているのか、僕の運命(フェイタル)を。
そして、それを止めるすべがないことも。
風が吹き、灰が舞い上がる。
その中に、少女の声が微かに混じった気がした。
果暖は何を言ったのだろうか。
覚えていない。
でも、目頭が熱くなったことは覚えている。
涙が頬を伝ったことも。
「少女」はもういなかったのに、声だけが胸に残っていた。
獣の腹部が開く。
光りが落ちてくる。
白く、眩しく、すべてを焼き尽くす光。
僕は、静かに目を閉じた。
果暖の笑顔が浮かぶ。
あの飾らない笑顔を、僕は見た気がした。
ずっと心に残り続けている、あの笑顔。
その時に見た笑顔は、灰の世界で見たどんな景色よりも、温かくて、やさしい光に包まれていた。
僕は、あの笑顔が大好きだ。
本当に、大好きだ。
また、あの笑顔を見たい。
本当に、大好きだよ。
光りが世界を包む。
空が完全に、白色に染まる。
_______そして、世界は静かに、光の中へ、溶けていった______________。
2026/03/18 芽花林檎