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02.小さい私
小さい頃は誰もが不謹慎なことでも、普通じゃないことを楽しく感じるものだと思っていた。
4歳の頃、家が火事になった。
日本では想像できないが、原因は両隣りの隣人がうちの屋根上で火元を持ったまま喧嘩していたのだ。
1番上の階奥の部屋で私は昼寝をしていた。
急に咳が止まらずに苦しくて起きた。
何が起こっているか分からなかったがとりあえず近くにあった大切なものだけを抱きしめて部屋を出た。
いつもと違う風景にワクワクしていたのだ。
過保護な母親は家政婦に外に娘を出すなと言いつけていた。
だから今なら外に出れるかもしれないと、胸が高なったのだ。
だが思うように歩けず廊下から階段に差し掛かるところで息が出来なくなった。
幸い祖父がお菓子を届けに来る時間帯で火事に気付き、走って階段まで助けに来てくれた。
祖父に抱えられて脱出した家をずっと見つめていた。
怖かっただろうと沢山の大人が心配してくれたが私は怖くなかった。
ずっと出れなかった家。
誰もいない檻みたいな家。
毎日外を眺めていた。
火事にショックなんてなくて、ただただその家が恨めしかった。
私は何よりも出れたことが嬉しかったのだ。
それ以来小さい頃からずっと追い詰められたりピンチな状況が楽しくなってしまう。
自分が不幸な立場になる度にテンションが上がる。
乗り越えていく為にそうなったのか。
元々そういう性格だったのか。
–あの頃の私