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ラベンダー
第1話〜出会い〜
これは私が中学1年生の時の話だ。私は少し迷ったがテニス部に入ることにした。入部して最初の部活はオリエンテーションということでみんなで自己紹介をすることになった。
「じゃあ1年生から!」と先生に言われ私は緊張しながら順番が回ってくるのを待った。
「1年1組の高尾愛です!よろしくお願いします!」
あー見るからに陽キャだ。その子はすごくキラキラしていて芸能界にいてもおかしくないほど綺麗な顔立ちをしていた。私もあの子みたいになりたかったな…そんなことを少し考えていると思っている以上に早く私の順番が回ってきた。
「1年2組の白浜三玖です。よろしくお願いします。」よし何とか言えた。そして次々と他の1年生が自己紹介していき、次は先輩方の番。
「2年1組の水上祐月です!後衛やってます!よろしくお願いします!!」
第一印象は少し落ち着きがないけど明るくて優しそうな先輩だった。
それからしばらくして部活に慣れてきた頃。いつも一緒に行き帰りしていた友達が部活を休んだので私は1人で帰ろうとしていた。ちょうどその時後ろから声をかけられた。振り返ってみると祐月先輩がいた。祐月先輩と私はたまたま帰り道が途中まで同じだったので一緒に帰ることになった。そして私たちは自転車通学だったので別れるまでの時間はあっという間だった。私は元々先輩が苦手だったけど祐月先輩は男子の先輩だということをあまり感じさせないほど話しやすかった。それから祐月先輩とは部活でも話すようになりLINEも先輩の方からしてくれるようになった。でもこの時の私はまだ何も知らなかった。
学校祭の準備が始まった。私はあまり他クラスの子と話すタイプではなかった。だから名前と顔は一致しているけど話したことがない人がほとんどだった。同じ係になったはるともその1人だった。
はるとは話したことは無いけどサッカー部でノリが良くおまけに頭もいいと噂で聞いていた。私とはほんとに大違いだ。だから正直私は、はるととあまり話す気は無かった。でもはるとはそんなことを全く気にせず私に話しかけてきた。人見知りの私は最初少し戸惑ってしまったけどだんだん話せるようになった。
その日の夜、友達を通じてはるととLINEを交換することになった。それから気づいたら毎日はるとからLINEが来るようになった。はるとはたまに通話も誘ってくれたり、テスト期間に入ると男女2人ずつとかで図書館で一緒に勉強したりもした。
いつも通り図書館で勉強をしている時、たまたま近くにいたサッカー部の先輩が煽るように「取ってあげなよ〜」とはるとに言っているのが聞こえた。私はなんのことかなと思って見てみると、その先輩が指さしていた先には椅子の背もたれから落ちてしまった私の上着があった。私は慌てて上着を拾ってまた椅子に掛けた。少し顔を上げてみるとはるとの顔が赤くなっているような気がした。
数分後。
はるとは本を探しに行くと言い出して学習室から出ていった。すると今の隙にとでも言うように、一緒に勉強しに来ていたまなとが私に近づいてきてこう言った。
「はると、三玖のことが好きなんだって…!三玖はどうなの?笑」
私はどきっとした。ほんとのことを言うとはるとのことを気になってはいた。でも本人にちゃんと言われるまで期待はしたくなかったし、はるとに1番最初に自分の気持ちを伝えたかった私はつい嘘をついてしまった。
「そんなわけないでしょ(笑)
私は別に好きじゃないよ」
まなとはそれ以上追求してこなかった。
私は安心してその日は何とか終わった。
数日後、久しぶりに祐月先輩からLINEが来た。
「ちょっと話したいことがあるんだけどいい?」
私はなんだろうと思い恐る恐る返信した。
「大丈夫です!どうしました??」
「前から三玖のことが好きだった。付き合ってくれませんか。」
え。私は驚きのあまり言葉が出なかった。祐月先輩は本当にいい人だけど恋愛対象として考えたことは無かった。でも振るのは心が痛いしこれから先気まずくなるのも嫌だった。そもそも今の私の好きな人は誰だろう。考えてみると思い浮かんで来たのははるとの顔だった。私は勇気を出して祐月先輩を振ることにした。
「すいません先輩としては好きなんですけど…」
「そっか…。」
やっぱり少し心が痛い。でも私はこれで良かったんだと自分に言い聞かせた。