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裏路地を離れて大通りを歩く梓、聖奈、沙月。「なんか・・カラオケって気分じゃなくなっちゃったね」聖奈な背伸びをしながら言う。
「ごめんね・・せっかくのカラオケだったのに」
梓が申し訳なさそうにうつむく。
「何梓が謝ってんの?梓はなーんも悪く無いんだから!ね?」沙月が梓の背中を優しくポンポンと叩いて吐けます。
「ありがとう・・みんな」梓はニコッと笑う。
「でも絶対にあの人は梓のお母さんだったと思うんだよね〜・・・」
沙月は先ほどの女性を顔を思い出す様に考え込む。
「仮にその沙月が見た人が、本当におばさんだったとしてさ、あんな場所に何の用があるんだろ?」聖奈な首を傾げる。
「それなんだよね・・体売ってるとか?」
「バカ!梓の前で何言ってんのよ!」聖奈が沙月の頭を平手打ちする。
「あ・・ごめん・・梓。なんの確証もないのに・・勝手な事・・」
「ううん・・いいの」梓は微笑んでいるが、聖奈と沙月から見ても、それは無理して作っている笑顔だという事は分かった。
「まぁ、探偵さんも動いてくれてるし・・もう少し待ってみるよ」
梓の言葉に聖奈は驚いた様に「探偵?今探偵に依頼してんの?」と目を見開く。
「う、うん・・お母さんの捜索を探偵さんに依頼してるんだ」
「いや、それはいいけどさ・・費用ってどうしたの?かなり依頼料高いって聞くよ?」
「確かに!うん十万とかかかるもんなんじゃないの?探偵に依頼するのって」
聖奈と沙月は梓に食い入る様に質問を投げかける。
「いや、その、皆川先生が・・・」
「駿くんが出してくれたの?探偵費用?」
聖奈の問いかけに梓は黙ってうなずく。
「いや、いくら自分が受け持つクラスの生徒だからってそこまでする?なんか脈アリなんじゃないの?梓このこの!」沙月は梓を茶化す様に脇腹を肘で突っつく。
「ないない!そんな訳ないじゃん!」
「いや沙月の話もあながち筋違いじゃないんじゃない?だってさただの教え子のために、なん十万も出す?出さないって普通」
「そう・・かな・・・」梓は顔を赤くしてうつむく。
「まぁ、詳しい話はファミレスに寄ってしよっか!ね?ね?」聖奈と沙月は、梓の腕を引っ張り、大通に向かって歩く。
すると「おーい!金森ー!」遠くから梓を呼ぶ声がする。
梓が振り向くとそこには、路肩に車を停車させ、こちらに手を振っている駿だった。
「あ❤︎駿❤︎」梓は満面の笑みで駿の方へ走っていく。
「どうしたの?何でいるの?」
「いや、迎えにいくって言ったろ?」
「そうじゃなくて早すぎない?」
「いや、早く着きすぎちゃってさ!どうやって時間潰そうか考えてたら、たまたま見かけたから声かけたんだ!」
「なんだぁ❤︎そうだったんだぁ❤︎」
そんなやりとりを、遠目から見つめる聖奈と沙月。
「ウチらの存在忘れてるよね?あの2人」
「うん・・完全に忘れてるよね」
「でも梓・・今確かに駿って言ったよね?」
「うん!言った!確かに言った!」
「梓って駿って呼んでなかったよね?」
「うん!いつも皆川先生って呼んでた!」
「これは問いただす必要あるね」
そう言うと聖奈と沙月、2人に向かって走り出す。
「あっれれ〜?梓ってさ駿って呼んでたっけ〜?」聖奈は梓の背中に抱きつき
「駿くんも愛しの梓ちゃん迎えに来たんだ〜!このこの!」沙月は駿の頭を両手でワシャワシャと乱雑に撫でる。
「な、何言ってんだよ!あ、あれだよ!あれ!たまたまだよ!そう!たまたま!うん!」
「そ、そうだよ!皆川先生はたまたまだよ?ね?皆川先生?」
「あ、ああ!金森の言う通りだよ!お前ら2人して何言ってんだか!あはは!」
明らかに動揺しながら誤魔化す2人を聖奈と沙月はニヤけた顔で見つめる。
「怪しいなぁ〜」「実はウチらに内緒で待ち合わせしてたりして❤︎きゃー❤︎禁断の恋ー❤︎」聖奈と沙月は、互いに手を合わせて飛び跳ねる。
「わかった!わかった!落ち着け2人とも!」
駿は聖奈と沙月を落ち着かせる様になだめる。
「というかカラオケは行ったのか?随分早かったな?」駿が何の気なしに口を開く。
「え?何でウチらがカラオケ行こうとしてたって知ってんの?」聖奈は素朴な疑問を口にする。
「あ、いや、ホラアレだよ!お前らよくカラオケ行ってるだろ?だから、多分カラオケだろーなぁって、行くんなだろーなぁって、うん、そんな感じ」
「いやどんな感じ?」沙月が笑いながら言う。
「梓から聞いたんでしょ?」聖奈が何かを期待する様にニヤけた顔で駿に尋ねる。
「いや、何で金森がわざわざ俺にそんな事言うんだよ!なぁ?」
「そうだよ!いちいち担任に言ったりしないよ!聖奈ったら何言ってんの!」
「ふーん・・まぁいいけどね」聖奈は納得した様なしない様な表情で腕を組む。
「てか、カラオケは?行かなかったのか?」
駿の問いかけに3人は裏路地での出来事を素直に話した。
「はぁ!?あの裏路地に入ったのか!?」
駿は驚きの余りに声を張り上げ、3人は申し訳なさそうにうつむく。
「あそこは行くなって常日頃から言われてるだろ!なんで行ったんだ!」
駿の言葉に「ごめんなさい!」梓は深々と頭を下げる。
「待って!私が行こうって言ったの!梓のお母さんに似た人を見たからって・・だから責めるなら私を責めて!梓はなんも悪く無いの」
「そう!悪いのは私たちなの!」
謝る梓を庇う様に沙月と聖奈が駿に弁解する。
「まぁ・・2人の気持ちもわかる。寂しい思いをしてる金森を見てるのが辛かったんだよな?」
優しく語りかける駿に2人は黙ってうなずく。
「まぁ、何事も無かったんならよかった!けどもうそんな危ない事すんなよ?教え子にもしもの事があったらって考えたら、生きた心地しないからさ!頼むぞ?」
駿の言葉に皆が「はい・・」とうなずく。
「まぁ、とりあえず今日は俺がみんな送ってくから、車乗れ!」
駿は皆を自分の車に乗る様に促すが、「あー!」車に近づいた瞬間に大声を出す。
「ど、どうしたの?」梓が不安そうに言葉をかける。
「駐禁切られてるじゃん!」駿の車のフロントガラスには、駐車違反と書かれた黄色い紙が貼り付けられていた。
「あらら・・」皆が駿に道場の目を向くなる。
「ちょっと離れてただけじゃんかよ」
駿はガックリと肩を落とす。
「まぁ、いいや、とりあえずみんな、車乗れ」
魂が抜けた抜け殻の様に落ち込んでいる駿は、皆に車に乗る様に促す。