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ベンチに横たわる先輩を見てため息がでた。額には汗が滲み、夢でもうなされているのか顔は歪んでいる。
🍬「類くん、起きないね、」
🤖「すぐに吐いたから大丈夫だと思うけど」
顔の前でしゃがみ、綺麗な紫髪をどかして、おでこに触れる。熱は無い。熱くもない。触ってみたが校門で会った時のような感覚はこなかった。あれは嘘じゃない。そう証明したくてもするものはもうない。
🤖「こんなに酷かったんなら言ってくれればいいのに、。」
🍬「ずっと、フラフラしてたよね…」
🌟「オレのせいだ。分かっていたのに無理やり手伝ってもらっていた。」
どうしても、もう一度あの笑顔が見て見たかった。ショーをする時の笑顔は何にも変わらない。もし変わるものがあるならきっと…。
🤖「症状を見た感じ、トラウマだけじゃないように見えたけど」
🌟「お前もそう見えたか?」
🍬「えぇ、なになに?他にあるの?」
今にも死んでしまいそうな体の冷たさ。寧々が話していた神代先輩の話。
“今まで症状は出なかった。”
今まで、は。そのツケが今まわってきた。それも大きくなって。
🌟「はぁぁ、また何も出来なかった」
🤖「そう落ち込むこともないんじゃない?言ってくれなきゃ何も出来ないし。」
🌟「だがッッ、オレが1番気づいてたというのに、」
ステージで自然と出たあの言葉。
“「神代先輩!すごいです!」”
あれは本当に無意識だった。無意識に褒めていた。まずい。そう思ったが先輩の顔を見れば、そうとは思わなくなった。あの、顔を崩して笑った顔。今にも溶けてしまいそうだった。
🍬「ねぇ、ねぇ、何があるの〜?」
🤖「あ、あぁ。えむは気づかなかった?」
🍬「んー?特には…」
🤖「トラウマが大半だろうけど、きっとダイナミクスの影響も受けてる。それも司のせいでね。」
🍬「えぇ!?司くんのせいってことは…類くんSubなんだね!!」
🌟「はぁぁぁぁぁぁあああ」
🤖「デカため息つかないでよ、」
分かっていたというのになぁ。いざ口に出されてしまうと、尚更落ち込むもので。
🍬「でもでも、そんな風には見えなかったよ。特有の雰囲気も感じなかったし!」
🤖「薬で無理やり消してるからね。私でも分からないくらい薄まってるから。」
🍬「お薬…?、あ!!!」
オレに話してくれれば相談にでも何でものるのに。むしろ、Playだって考えなくとも…。
🍬「類くん、ここに来る前、鞄からなにか落としてたんだ〜!」
🤖「そうなの?」
🍬「うん!走ってたから気づかなかったけどもしかしてお薬ってこれのこと?」
差し出されたものに目が釘付けとなる。なんだ…その強い薬は…、。
🤖「…ってえ!?、薬なのはあってるけど抑制剤でも上の方の強いものじゃない、、」
咲希も悩んでいたから知っている。家には薬だらけだったし、漁ればそこら中にあった。だが、その薬だけは厳重に袋攻めにして奥の方にあった。それを飲もうとして怒られた記憶がある。
“🌟「やーだ!!のむの!!」”
“「ダメよ!!、そんなもの飲んだら死んじゃう!!ただでさえ強い薬なんだから!!」”
何を思ったか飲みたくなって。こっぴどく怒られて泣き喚いたのはまた別の話…。いやいや、それよりも。
🌟「寧々は知らなかったのか?」
🤖「いや、類のお母さんからはもう薬はやめたって聞いてたから…。」
誰にも頼らない、迷惑かけないとはこういうことだろうな。にしても、放っておいたら本当に死んでしまうぞ、。
🤖「どうしよう…」
🍬「あ、あたしがCommandだそうか?簡単なものならだせるし!」
🤖「最悪それも考えなきゃ…」
🌟「いや、オレがやろう。」
🍬「えぇ、司くん??」
🤖「…言ってることわかってるの、??」
オレも最近発散出来ていなかったと言えばそうだ。
🤖「私もアンタに頼めるなら頼みたいけど前みたいなことが起こったら…、。」
🍬「そ、そうだよ!あの時は大変だったんだから、!」
ダイナミクスには個人差がある。それは誰もが知ってる事だし上手く付き合っていくべきなのも知ってる。
あの時。あまりの衝動で良くは覚えてないが極度にDom性が暴れ狂ってしまい、Subが気を失うまで続けてしまったことがあった。気づいた時には相手が痙攣していたし、馬乗りになっていた。それに止めてくれていた、えむの頬を殴っていた。2人にはどうしても頭が上がらないし、あそこで2人がいてくれなくては、きっとあのまま首を絞め何度も殴っていただろう。
🌟「あの時は……本当にすまないと思ってる。大切な仲間を傷つけ、挙句の果てには相手の心も傷つけた。なんと侘びればいいか分からないっっ、。」
🍬「だ、大丈夫だよ。その話は解決したでしょ??」
夢中になれば相手のことは見えなくなること。暴れてしまえば歯止めが効かないこと。全て伝えた。その上で信じてくれた2人には感謝でしかなかった。
🤖「正直、仲間だろうと信じれない。ごめん、例え類のことをよく分かってたとしても。確かに司は何よりの適任だし、類にもすすめたけど…。」
1度裏切られた信頼関係は修復するのには時間がかかる。何よりも知っている。もしこれでまた神代先輩にトラウマを植え付けてしまえば、それこそ取り返しがつかない事になる。それはオレも先輩も分かりきってることだろう。だが…。
🌟「こればっかりは何を信じてもらえばいいか分からない。またあんなことになればオレはもう一生後悔するだろう。 」
🤖「……」
🍬「司くん…」
🌟「でも、後悔してからじゃ遅いんだ。やらずにこのまま弱ってく、先輩を見るよりも行動にうつすべきだと…思う…。」
🤖「私達が信じれる確証は?」
🌟「…っ、」
信じてもらうものがない。償う。神代先輩には堂々と言ったが自分も言えたもんじゃない。
🌟「なにも…ない、。」
🤖「…アンタからして見れば1個うえの先輩かもしれない。でも、私からしてみれば大切な”兄”みたいな存在だから。司も分かるでしょ?妹がいるんなら尚更。」
妹がいつ死ぬか分からない怖さ。オレが1番知ってる。そんな大切な存在が消えていく儚さ。この痛みは分かっている。
🌟「だけど、オレが辛く怖いように神代先輩からして見ればもっと辛くて恐怖しかないと思うんだ。いつ倒れるか、いつ死んでしまうか分からない恐怖。それはオレたちが知るよりも何千倍も大きいと思うぞ。」
🤖「それは…、」
🌟「神代先輩が1人で戦っていたようにオレたちも全力でサポートして戦うべきじゃないのか、?土俵に立つ資格がないかもしれない。正直言うとオレだって自分が信じれてない。何が起こるかわからない。そんなことに巻き込むなんて馬鹿だと思ってる。」
🤖「なら…」
拳をぐっと思いっきり握る。
🌟「だが、オレはここで食い下がりたくないッッ、。笑ってる顔も楽しんでる顔も見てるだけで満たされる。会って1週間かもしれない。本能で引かれたかもしれない。しかし、これは気持ちが思いがそう言ってるっ。どう伝えるか、そもそも伝わってるか分からない。」
笑顔になれないならその耽美に笑顔にすればいい。全力を尽くして、認めて貰えるまで努力し続ければいい。
🌟「だって、オレは、」
風がサーッと吹き荒れる。タイミングバッチリって所だろうか。
🌟「類先輩が好きだからッッ、」
スポーツができるとこも勉強ができるとこも。能天気でマイペースなとこも全て全てが。
🤖「なーんだ、ちゃんと自分のこと言えてんじゃん。伝わったよ、」
🍬「えへへ、司くん伝わってるよぉ〜」
🤖「えむ、行こっか」
🍬「うん、あとは頑張ってね〜!」
🌟「って、おい!!」
置いてく気か!?ここまで言い切ったのに!?
🌟「まって…ッッ」
「だめ、1人にしないで、」
🌟「は、」
服の袖を引っ張られる。
🌟「は、は、は、は、はぁ!?!?」
🎈「んぅ、うるさいよ、」
🌟「いつから起きて!?!?」
た、大変だあああああああああ!!