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予約した宿で、かなは眠る
りさ (…やっぱり、β地区_ネットに長時間滞在したのが悪かったんでしょうね)
りさは眠るかなの隣で、一人考えを整理する
リボルバー、ラピッドは別で一人部屋を取り、様々な仕事を部屋で行っている
りさ (…でも、たかがネットでここまで眠る?)
りさ (…私がおかしいのかな…)
有機物が長時間滞在することは危険…
確かに、β地区に入ってから1日は経過していたような気がするかなとりさは考える
逆に考えるのならば、1日しか経過していないのだ
りさ (…いや、私はこの地球において、異分子でしかない)
りさ (…私と違って、かなは一般人で、私から見れば子供)
りさ「…きっと、子供に背負わせるには、こんな腐った世界は重すぎる」
…時に、正義から悪に転身しなければならないこともある貴方も、私も
りさ「…突き放せなかった」
りさ「…私が、幼いかなにとって最後の頼みだった」
_いいえ、違うかもね
りさ「…私が乗っ取られた時、かなは私を1度殺す事を凄く躊躇ってた」
りさ「…手が酷く、震えてた」
かなの方を向き、その右手をりさは両手で包み込むように握る
りさ「…ごめんね」
思いを馳せるかのように、呟く
りさ「かなが幸せになれるように、ずっと願ってるの」
かなが眠って、3日が経過した
リボルバー「…流石に、病院に連れていきません…?」
医師「…これは…」
医師「…皆様が仰る通り、ネットに長時間滞在したのが大きな原因であることは間違いないです。 」
りさ「…間違いない?」
医師「えぇ、ですが同じくらい大きな原因があります」
医師「…通常ありえないほどの過剰な脳波が、検出されたのです。」
医師「通常ネットに滞在していると、ネットのエネルギーに飲まれて、脳波は弱くなります」
神妙な空気が無機質な部屋を満たす
医師「…ですがかなさんは、脳波が強くなった_これは有り得ないことです。」
医師「ですが、命に別状はありません。」
3人は胸を撫で下ろす
医師「こちらで入院させることも可能ですが、どうしましょうか?」
りさ (かなが動けなくなったら、誰がかなの妹を見るかも分からない )
りさ (かなは両親も…頼れる親戚すら居ない…)
りさ「かなを…よろしくお願いします。」
医師「分かりました。」
午後14時、冬にしては心地いい気候だ。
3人は病院を出ると、偶然真弘に出会う
真弘「あれ、皆さん!」
リボルバー「真弘さん…!どうしてここに…?」
真弘「散歩してたんです、もう一度会いたい人が居るんですが、顔が思い出せなくて…」
りさ「もう一度会いたい人…?」
真弘「えぇ、僕の弟なんですが…しばらく会っていないうちに、顔が分からなくなってしまったんです。」
ラピッド「…私達に出来ることはありませんか?」
真弘「…協力してくれるんですか!?えっと、ありがとうございます、ですが…」
リボルバー「…ですが?」
真弘「…皆様も大変でしょうに、ご迷惑をかける訳にいきませんから…」
りさ「…いや、協力させてくれない?」
真弘「…えっと…」
りさ「大丈夫、私はこういった事によく関わってるから、心配しないで」
リボルバー「迷惑でしたら大丈夫ですからね…」
真弘「本当に、大丈夫でしょうか…?何も思い出せないのに…?」
ラピッド「えぇ、僕達はヘリコプターを墜落させた人物を探していますし…真弘さんの探す人と一致している可能性も、無くはないですから」
真弘「…それなら、お願いします…!」
真弘は3人を先導するかのように、少し前を歩いた
栄え具合は、地方都市とでも言うべきだろうか?β地区に比べれば、息苦しくなく控えめで過ごしやすい
心地いい空気、ラピッドがあくびするのをよそに、りさは聞く
りさ「探している弟について、なにか思い出せることとかないの?」
真弘はしばらく考え込む
真弘「…最後の記憶が、この辺りで二人で歩いてた、という事なんです」
絞り出すようにそう口にする
真弘「…でも、隣の弟は、…変貌したみたいに、黒いモヤがあって」
真弘「…家なら分かります、…1度、来ていただけませんか?」
強く思い悩んでいること、本当に思い出せないことは、どれだけ疑り深くても本当だと思ってしまう程だった
真弘にとって、弟が大切だったことも、3人はすぐに分かった
真弘はアパートの自室の前に着くと、認証を行う
真弘の目に向けて、扉が青い光が放たれ、5秒もすると扉が開く
リボルバー「…斬新な認証方法、ですね…」
部屋に続く扉は指紋認証や生体認証が9割を占めている、だがこのアパートは”角膜認証”を導入している
真弘「数年前、ここではAIを使った空き巣が横行してて、角膜なんて繊細なものがないAI対策としてこれが導入されたんです。」
真弘「…最近は調子が悪くて、1秒くらいで終わっていたのが、5秒くらいになってますけど…。」
少し古いが4人用の大きなテーブルに4脚の椅子、そして奥の方にはキッチンがある、一般的な家庭と同じようなリビングの、食卓に案内される
真弘「…あ、御三方はおかけになって大丈夫ですよ、用意するもの…温かい紅茶って飲めますか?」
3人が頷くと、しばらくして温かいストレートティーが、4人分机に置かれる
真弘は空いているところに座った。