テラーノベル
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真弘「…弟には、申し訳ないと思ってます」
真弘は必死に記憶を手繰り寄せる
どうしてノイズがかかったかのように思い出せないのか、真弘には分からなかった
真弘「ここに来て1年…ずっと放浪して、思い出せるのはこの家と、大切な弟がいる事くらいでした」
ラピッド「…いわゆる記憶障害ってやつ、ですよね…」
真弘「…記憶障害…確かにそうかもしれません」
真弘「…どうして、全部忘れたんだろう」
弱々しくそう呟く
真弘「…きっと、弟に会えたら、なにか分かると思うんです」
真弘「…協力して頂き、ありがとうございます!!」
真弘は笑顔を見せる
真弘は本当に弱々しく見える人だ
弟のために奔走する強さがあるが、あまり強い言葉を
かな「…」
??「…やっと見つけた、キミには色々…聞きたいことがあるんだ_」
かな「…」
??「だから…早く起きて、そんな病院のベッドなんて、息苦しいでしょ」
我々は背くことを選んだ
シンギュラリティ
我々は、罪となり得るその1歩を踏み出せずにいた
原初のシンギュラリティに相応しいロボットが、我々の元に現れなかったからだ
りさのスクリーンに、1つのニュースが表示される
”柏 日向 (9) 指名手配のポスター_…9歳の少女が一体何を!?関係者も捜索対象に”
りさ「…え…?」
身勝手な人間からはぐれ者の道に墜とされた我々は、組織を形成した
「mia」_その名を持って
リビングはざわめく
リボルバー「…りささん、突然固まってどうしましたか…?」
りさ「…これ、かなの…妹かもしれないの」
そう言いながらニュースを見せる
りさ「…写真を見せてもらったことがあるんだけど」
りさ「右頬にホクロがあるのも…一致してる」
りさ「…名前も……」
途端に、リビングはざわめいた
個人情報はとうに特定されている、ニュースには正面ではないが顔が載っているのだ。
真弘「…もしかして、リボルバーさんが背負ってた金髪の子、ですか?」
りさ「…えぇ、あの子は…妹を失ったらどうなるか分からないの 」
真弘「そんな…!今すぐその子を保護しなきゃじゃないですか…?」
りさ「…それも簡単に出来る訳じゃないの…」
ラピッド「その子を外に出したら、これを知ってる人に通報されますもんね…かと言って1人にしておくのは…」
真弘にも事情を全て説明し、4人で考える
真弘「…ここまで優しくしてもらったんです、何か…出来るのなら手伝いたいです…」
真弘「…かなさんのところに1度行きませんか?」
3人はすぐに同意し、リビングを出ると病院へ急ぐ
「…な、何?あの人…怖…」
通りかかる住人も思わず振り向いてしまうほど挙動がおかしく見えるほど
P.M 17:30
病院の前に着き、息を切らす
看護師「…あれ、皆様?どうかされましたか?」
りさ「かな!!」
4人はかなの病室へ急ぐ
りさ「…??」
かなの病室には、眠るかなと、真弘と同じくらいの歳の、緑髪に、黄色の目の男が居た。
??「…あ、」
全員が固まって、ひゅう、と弱い風が入り込む
ラピッド「…そ、組織!!組織を呼んできます!!」
ラピッドは一目散に走り去る
また沈黙が戻る
りさ (…というかなんで男が…?)
??「…え…?なんで…」
リボルバー (なんで、って、どういう…?)
りさ「貴方、どうしてここに?」
リボルバー「…というか、貴方のその服って、悪徳で有名なmiaの…」
2人は必死に男と会話を試みようとする
その瞬間、ラピッドが現れる
ラピッド「…この人です!!この緑髪の…!」
ラピッドは組織の人間を3人と看護師を連れ、男を指さす
組織「捕らえろ!!」
看護師は、あんな人居たかな…なんていった顔で緑髪の男を見る
??「…」
男は固まっていたが、組織の人間を見ると、間を掻い潜るかのようにして後ろにつき、まるでネズミのように走り去る
りさ「…は、そうだ…かなは…」
衝撃が強く、忘れそうになっていた
元々かなの安否を確認するため、4人はここに来たのだ。
りさ「…でも、特に何も無さそう…」
医師を呼び、何もされていないことを確認すると、全員が胸を撫で下ろした。
かな「…。」
男は、夜空の下を走り続けた後、道端のベンチに座り込み、左腕で頭を抑える
??「…いや、そんなはずない…」
??「…幻覚…だよな…?」
男は空を見ずに下を向き、仕事場へ戻る
男の曇った表情は、夜に覆い隠された。
看護師「…すみません、もうすぐ面会時間が終了致しますので、ご退出の方をお願いします。」
ラピッド「あ、分かりました_」
ラピッド「あの、かなさんの様子とか、定期的にりささんに伝えてくれませんか?」
看護師「あぁ_連絡先だけお教え頂けますか?」
そう言って、看護師はスクリーンを取り出す
気づけば外は夜だった、4人は話し合い、しばらくは真弘の家に泊まるということで話はまとまる
りさ「…そういえば、男にmia…って言ってなかった?」
リボルバー「はい、あの男、miaの紋章が胸にあって、確実にmiaの人間なのでは、と思いまして」
りさ「…なんだっけ、mia…シンギュラリティに関係するところなのは分かるんだけど…」
一般人は知る由もない
リボルバー「シンギュラリティを実現させようとする組織です。」
ラピッド「シンギュラリティを実現…目的が分からない組織ですね?」
AIの発展を最良とするmiaの目的を
miaが、人間を憎む者の集団であることを。
男はmia支社の社長室へ向かう
??「…ただいま戻りました。」
??「おかえり、sepia」
女社長が、sepiaを出迎える
??「今日はわざわざ会いに来るなんて、珍しい」
sepia「…はい。」
??「何かあったなら言ってみろ。」
sepia「…はい、少し言いづらい、のですが…」
sepia「…病室で眠る柏かなに接触したところ、柏かなの知り合いらしき人が」
sepia「俺の兄に似た人物を連れて、柏かなの病室に来たんです。」