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それから昼食を終え、午後の授業までの間、それぞれがお茶を飲んだり、他愛もない雑談を交わしたりしている中、さくらが神妙な面持ちで口を開いた。
「あのさ・・みんな?」
その声に、部室の視線が自然と集まる。
「ちょっといいかな?」
信愛が首を傾げた。
「ん? どうかした?」
さくらは少し間を置き、慎重に切り出した。
「みんなってさ、もうゴールデンウィーク
って予定とか入れてたりする?」
「ゴールデンウィーク?」
信愛は少し考え込んでから肩をすくめる。
「うー・・・ん特に無いかなぁ」
焔垂も腕を組みながら答えた。
「今のところは俺も無いな」
茜もスマホで予定を確認しながら
「うん、私もどっか行くとかは無いかな」
そして朝陽へ視線を向ける。
「朝陽くんは?」
朝陽は穏やかに答えた。
「お母さんが出張に行くんで
僕も予定は無いですね」
信愛は不思議そうに尋ねる。
「でも急にどうしたの?」
さくらは一度息を吸ってから話し始めた。
「実は、さっきお母さんから電話があってさ」
そのまま続ける。
「お母さんの実家が長野の『天虎村』って
小さな村にあってね、そこでお爺ちゃんと
叔父さん夫婦が茶農家やってるの」
「へぇ、そうだったんだ」
信愛が感心したように頷く。
茜も思い出したように反応する。
「あ、そう言えばそうだったね」
信愛は茜を見た。
「あ、茜は知ってたんだ」
茜は昔を懐かしむように微笑む。
「まあ、昔からさくらとは一緒だしね」
「あ!なるほど!そうだったね!」
信愛が納得したように頷くと、さくらは少し表情を曇らせた。
「で、もうすぐお茶の摘菜時期だっていうのに」
言葉を切り、小さくため息をつく。
「運悪く叔父さんが階段で
足滑らせて怪我したらしくてさ」
信愛が首を傾げる。
「ごめんさくら、そのテキサイって何?」
焔垂が説明を加えた。
「摘採って確か収穫って意味だったろ?」
#普通
野々さくら
543
805
44
ありあ
159
「え?収穫の時期に怪我したってコト?」
信愛の問いに、さくらは重々しく頷いた。
「そうなんだよね・・・」
茜が心配そうに身を乗り出す。
「やばいじゃん!どのくらいの怪我なの?」
さくらは表情を曇らせたまま答えた。
「全治何ヶ月のみたいな骨折じゃないらしいんだけど
医者からは絶対に安静にしろ!って言われてて」
部室の空気が少しずつ重くなる。
「叔母さんが病院に入院させてるらしい」
「入院・・・」
信愛は小さく呟いた。
朝陽も真剣な表情で尋ねる。
「じゃあ、お茶の、その摘採はどうするんですか?」
さくらは苦笑いを浮かべる。
「一応ご近所さんが手伝ってくれる
って話にはなってるらしいんだけどね」
しかし、すぐに困ったような顔になった。
「お爺ちゃんが『俺一人で十分だ!』
って言い張ってるみたいで」
信愛は驚いたように目を丸くする。
「お爺ちゃんっていくつ?」
「今年で85歳」
その数字に茜が思わず声を上げた。
「え・・・その年齢で一人で収穫って
そんな事できるの?」
さくらは首を横に振る。
「いや、絶対に無理なんだよね・・・
お茶の摘採ってね、ずっと中腰でやるから
絶対にお爺ちゃん一人で出来るわけないんだよ」
焔垂も静かに頷いた。
「まあ、だろうな・・・」
さくらは困ったように笑った。
「でも、お爺ちゃんって昔っから頑固でさ」
祖父の頑固な顔を思い浮かべるように視線を落とし、静かに続ける。
「自分で決めたら、何が何でも
やり遂げなきゃ気が済まない性格なの」
その言葉には、尊敬と心配が入り混じっていた。
「今も『昔は俺が一人でやってたんだから
一人でくらい楽勝だ』って言ってるらしくて」
信愛は眉を下げ、小さく息を漏らした。
「それは心配だよね・・・」
その一言を聞いたさくらは、意を決したように立ち上がる。
「でね? みんなにお願いなんだけど」
一人ひとりの顔を見渡しながら、真剣な眼差しで口を開く。
「私と一緒にお茶の摘採、手伝ってくれないかな?」
そう言うと、両手を胸の前で合わせ、必死に頭を下げた。
突然の頼みに、信愛は思わず目を丸くする。
「私たちが!?」
さくらは何度も頷きながら言葉を重ねた。
「お願い!お爺ちゃんに無理させたくないの!」
その声には、祖父を案じる切実な想いが滲んでいた。
「お爺ちゃんって、私には昔から甘くってさ
私が言えば話聞き入れてくれて無理しないと思うの」
信愛もその気持ちは十分に理解できた。
「ご飯も三食出るし、摘採の間は
お爺ちゃんの家で泊まれるからさ!」
そしてもう一度、深々と腰を折る。
「どうか・・この通り!お願いします!」
額が床につきそうなほど深く頭を下げたまま動かないさくら。
その姿からは、祖父を思う気持ちと、何としてでも力を借りたいという切実な願いが痛いほど伝わってきた。
コメント
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さくらちゃんがみんなにお茶摘みの手伝いをお願いするシーン、めっちゃジーンときたよ〜😭✨ おじいちゃんが85歳で一人でやろうとしてるって聞いて、心配になる気持ちすごくわかる!しかも「額が床につきそうなほど深く頭を下げる」さくらちゃんの姿に、家族想いな優しさが溢れてて感動したよ🥺💕 信愛たちがどう答えるのか、続きが気になりすぎる〜!次の話もめっちゃ楽しみにしてるよ!📖🌟