「いやぁ、朝から活気に満ち溢れてますねぇ」
「イヤミかよ」
自分の部屋で制服に着替えながら、根岸とフリーダは言葉を交わす。
「特に、兄貴のお父さん。大声で家族をガン詰めしてくスタイルが、うちの親父そっくり。ここで聞いていて親近感わいちゃった」
「親近感ねぇ……そんなもん感じたところで、何にもならないぞ」
ズボンのポケットにハンカチとポケット・ティッシュを詰めながら根岸がぼやく。
「スマホ忘れてるよ兄貴」
「こんな物、学校に持っていったら、アイツ等に何かされるのが目に見えてるだろ?だから置いてくの」
「それじゃあ、携帯電話の意味がないよ」
「壊されるより、マシだろ」
根岸が尻ポケットに財布を入れながら答える。
根岸が通学カバンを持ち上げるのと同時に、フリーダは床から机の上に飛び上がり、そこから根岸の胸ポケットにダイブした。体表の色が床のフローリングの茶色から、Yシャツと同じ白い色に変わる。
「よーし、出発進行」
ポケットの中でフリーダが意気揚々と宣言する。
玄関を出て暫くすると、根岸は36号に出会った。
「御二人とも、お早うございます」
相変わらずの丁寧口調で挨拶がなされる。
「36号さん、お早うございます」「姐御、お早う」
「どうですか、根岸さん。昨日は良く眠れましたか?」
36号が問いかける。
「はい、おかげ様で」
「それは重畳。では、背筋を伸ばし、視線を上げてみて下さい。少しは世界が変わって見えてくる筈です」
「そんなもん、ですかね」
根岸は言われた通り、猫背気味の背筋を伸ばし、視線を前に向けた。
「大変宜しい」
2人は歩きながら会話を続けた。
「根岸さん、貴方はイジメ・グループが昨晩の復讐をするんじゃないかと、少し心配していますね」
「はい、少しどころか、凄くです」
根岸は頷いた。
「今回、私が学校内に入って大暴れすることは出来ませんが、大丈夫、貴方は守護られます。今朝のニュース、ご覧になりました?」
「えっと……どのニュースでしょう?」
「米軍艦艇が、テロリストの拠点を攻撃した−−」
「あっ、はい。見ました」
「あれと同じです。我々の攻撃は、圧倒的で、一方的で、敵はそれに耐えられません。ですので、何の心配もいりません」
「姐御がここまで言うんだからさぁ、大船に乗った気でいようよ兄貴」
ポケットの中からフリーダが根岸を元気付ける。
「大した力にはなれないけど、ボクはずっと兄貴のポケットの中にいるからさ」
「うん、そうだね。分かったよ」
「さぁ、アイツ等を逆に痛めつけてやる位の気概で行ってらっしゃいな」
校門の前で、36号が根岸の背中を平手で打った。
「あっはい。行ってきます」
コメント
2件
まぁ、本性はマジ畜生なんですけどね
36号かっこいい、、、✨