小豆沢の妊娠報告後、彰人と奥さんも妊娠したと連絡が来た
その半年後、彰人の奥さんと小豆沢は同じ病院で出産した
仕事が忙しく、白石も俺も病院に行けなかった
「こはね〜!!無事に生まれてよかったよ〜!!」
俺の隣で、白石が涙目で言った
「おめでとう小豆沢、彰人
本当に、彰人たちだけでよかったのか?」
彰人の奥さんと小豆沢の旦那さんは、今別の部屋にいるらしい
『揃いも揃って人見知りでな。初対面じゃ話せねえって』
『気を使わなくても大丈夫だよ。ちょっとずつ仲良くしようね』
「あぁ、ありがとう
…本当に良かった。2人の子が何事もなく生まれて」
「本当だよ〜!おめでとう!絶対抱っこしに行くからね!!」
『ふふ、ありがとう杏ちゃん』
『そろそろ切るな。医者に呼ばれてる』
「ああ、またな」
「またね!」
俺たちは2人に手を振って、スマホを机に置いた
「あのさー冬弥」
「なんだ?」
白石は、真剣な顔をして言った
「こはねが妊娠したってことはさ、
こはねが男とセックスしたってことだよね?」
「真剣な顔をして何を聞いているんだ…」
「だってそうじゃん!!わー!こはねが私もよく知らない何処の馬の骨だか分からないような男に抱かれたんだよ!?」
「…そんなこと言ったら、彰人は俺のよく知らない女性を抱いたんだぞ」
「あー!やだ!なんで9年来の恋拗らせてんだ私たちは!!!」
「拗らせてるから今こうなっているんだろう」
今俺たちは、玩具とゴムが散乱するベッドの上に、裸で座っていた
「…それもそうだね
どうする?もっかいする?」
「…あぁ、そうす」
『ひゃっ』
「…え?
…こは、ね?」
何処からかわからないが、小豆沢の声が聞こえた
俺たちは半ばパニックになり、固まっていると、俺のスマホからブツッという音が聞こえた
…通話、切ったか?
切っていない
つまり、今までのこと、全て聞こえていたということか…?
「…え、なに、?…え…?」
「全部、聞こえてたのか…?」
「…ッ!冬弥スマホ貸して!!」
白石は、俺のスマホから小豆沢に電話をかけた
『あ、杏ちゃ…』
「…ごめん
ごめん、ごめん!ごめん!!!」
ボロボロと、白石は涙を流した
「こはねに、あんなの聞かせちゃって、ごめん!!!私…ッ!死ぬまで隠し通すつもりだったのに…!!!」
『あの、、杏ちゃん。わたしのこと、好きって…』
「ほんっとごめん!!素直に応援するつもりだったの!ずっと隠し続けるつもりだったのに…!!」
『青柳くんに、代わってくれる?いるでしょ?』
「…うん
冬弥、はい」
「…もしもし、」
『もしもし青柳くん、さっきぶりだね』
「…あぁ」
様々な感情が交差し、胸に大きくのしかかる
『安心して、東雲くんには聞かれてなかったから』
「すまない、本当に」
『…わたしこそさ、杏ちゃんの気持ちに気づかなかった。青柳くんには感謝しかしてないよ
杏ちゃんの気持ちに応えることはできないけどさ、わたし、杏ちゃんのこと大好きだから。このくらいじゃ、嫌いになんてならないよ』
「…それを、本人に言ってやってくれ」
『無理だよ、もう
わかるでしょ?』
「…すまない」
『また謝った』
『冬弥は悪くないよ!』
「青柳くんは悪くないよ」
…あ
「そうだな」
『ついでに言っとくね』
「…?」
『東雲くんの背中を押したのは、杏ちゃんだよ』
「………は…」
『きっと、お互いを補えるのは、2人だけだよ
わたしか東雲くんが補えるものじゃない』
「……」
また、絶望に突き落とされた気がした
どうして
白石のせいで、彰人は…
いや、俺も同じだ
俺は、小豆沢の背中を押した
だったら、あの言葉の意味も、わかる
俺たちは、堕ちていくしかないんだ
そうだろ
「なぁ、白石」
俺は電話を切り、白石の方を向いた
「引っ越さないか?」
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コメント
3件
彰人の連絡先だけ消すのちょっと渋ってるの良くないですか???? (自画自賛)