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遂に金曜日がやってきた。
僕は、楽しみ過ぎて部活や家でもずっと今日の事を考えていた。
藤花と更に仲良くなれるかも知れない。
期待を胸に玄関を出た。
集合場所にやっと着いた。しかし、他のメンバーら誰一人としていない。
そりゃそうか。今の僕は集合時間よりも1時間程早く着いてしまった状況なのだ。
本当に暇だ。
…しょうがない。少し店内を下見していこう。せっかくなら、藤花に格好良い所を見せたい。
藤花は何を見たがるかな…朔の好みは分かるのに、藤花の好みは殆ど分からない。
…そういえば。数日前に藤花と葵が話していた内容を思い出す。
『藤花ちゃんは何処で造花を買ってるの?』
『造花は、近くにある花屋で売ってたんだ』
『へ〜そんなんだ!』
藤花は造花が好きかもしれない…何処かに造花が売っている店ないだろうか。
探している内に、いつの間にか予定時刻30分程前になっていた。
ある程度、下見を済ませる事ができた僕は集合場所に戻った。
朔は5分、もしくはピッタリにくるタイプだから居ないだろう。
でも、藤花と葵は少し早めに来てくれるかも知れない。…少し周りを見ておこう。
僕は周りを気にしながら再び待ち始めた。
5分程待っていると声が聞こえた。
「紅君!」
「藤花!」
嬉しさで思わず駆け寄る。このまま抱き締めようかな。あっちも走ってるし。
邪な思いを持ちつつ、どんどん距離を詰めていく。あともう少し…
「紅君と会えて嬉しいよ!」
「う、うん!僕も!」
何と藤花の方から抱きついてくれた。僕今日死ぬかも知れない。
というか、今二人っきりなのだら仲良くなるチャンスではないか?
よし、会話をしてみよう…
「藤花の服オシャレだね。似合ってる」
「今日の為に新しい服買って貰ったの。だから、似合ってるって言われて凄く嬉しい」
「へー…何処で買ったの?」
「向こうにある大きめの服屋で買ったよ」
「あー!あそこね」
普段はジャージ姿しか見れないから、初めて藤花の私服を見たが可愛い。
想像よりずっと可愛い。いつまでも見てられる。
「紅君も格好良いよ。似合ってるね」
「あ、ありがとう…似合ってるか不安だったから嬉しい…」
互いに照れてしまって顔を逸らす。やばい。心臓がバクバクし過ぎて破裂しそうだ。
そんな藤花とのイチャイチャを楽しんでいた僕に水を差すように2つ声が耳に届いた。
「紅ー!」
「藤花ちゃーん!」
最初からクライマックスであった。
この金曜日は本当に特別な日だ。
僕達四人組の仲を深める事ができた日であり、君への恋心を実感することができた日になった。
大切な日なんだ。
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