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君と夏

15 - 第5章 1話 僕らと向暑

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2024年08月20日

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遂に金曜日がやってきた。

僕は、楽しみ過ぎて部活や家でもずっと今日の事を考えていた。

藤花と更に仲良くなれるかも知れない。

期待を胸に玄関を出た。


集合場所にやっと着いた。しかし、他のメンバーら誰一人としていない。

そりゃそうか。今の僕は集合時間よりも1時間程早く着いてしまった状況なのだ。

本当に暇だ。

…しょうがない。少し店内を下見していこう。せっかくなら、藤花に格好良い所を見せたい。

藤花は何を見たがるかな…朔の好みは分かるのに、藤花の好みは殆ど分からない。

…そういえば。数日前に藤花と葵が話していた内容を思い出す。

『藤花ちゃんは何処で造花を買ってるの?』

『造花は、近くにある花屋で売ってたんだ』

『へ〜そんなんだ!』

藤花は造花が好きかもしれない…何処かに造花が売っている店ないだろうか。

探している内に、いつの間にか予定時刻30分程前になっていた。

ある程度、下見を済ませる事ができた僕は集合場所に戻った。

朔は5分、もしくはピッタリにくるタイプだから居ないだろう。

でも、藤花と葵は少し早めに来てくれるかも知れない。…少し周りを見ておこう。

僕は周りを気にしながら再び待ち始めた。


5分程待っていると声が聞こえた。

「紅君!」

「藤花!」

嬉しさで思わず駆け寄る。このまま抱き締めようかな。あっちも走ってるし。

邪な思いを持ちつつ、どんどん距離を詰めていく。あともう少し…

「紅君と会えて嬉しいよ!」

「う、うん!僕も!」

何と藤花の方から抱きついてくれた。僕今日死ぬかも知れない。

というか、今二人っきりなのだら仲良くなるチャンスではないか?

よし、会話をしてみよう…

「藤花の服オシャレだね。似合ってる」

「今日の為に新しい服買って貰ったの。だから、似合ってるって言われて凄く嬉しい」

「へー…何処で買ったの?」

「向こうにある大きめの服屋で買ったよ」

「あー!あそこね」

普段はジャージ姿しか見れないから、初めて藤花の私服を見たが可愛い。

想像よりずっと可愛い。いつまでも見てられる。

「紅君も格好良いよ。似合ってるね」

「あ、ありがとう…似合ってるか不安だったから嬉しい…」

互いに照れてしまって顔を逸らす。やばい。心臓がバクバクし過ぎて破裂しそうだ。

そんな藤花とのイチャイチャを楽しんでいた僕に水を差すように2つ声が耳に届いた。

「紅ー!」

「藤花ちゃーん!」


最初からクライマックスであった。

この金曜日は本当に特別な日だ。

僕達四人組の仲を深める事ができた日であり、君への恋心を実感することができた日になった。

大切な日なんだ。

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