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「マリアっ」
呼ばれてマリアはそちらへ顔を向ける。
そして驚いた顔をした。
リオが隣に男子を連れていたからだ。
「本当だ、すげぇ美人」
「第一声それは失礼だろ。
ごめん、マリア。こいつ四条一馬(しじょうかずま)。
同じクラスのやつなんだ」
「初めまして。姉の花染マリアです」
マリアが笑いかけると一馬は頬を染めた。
「!……そういえば四条さんって言ったよね?
という事は生物準備室にいる四条先生と関係が…?」
「関係も何も、俺と穂高は兄弟なんだよ」
マリアは目を見開いて驚いてしまった。
「自分も初めて聞いたけど、兄さん何歳?」
「28歳」
11歳も離れてるんだ……、とマリアは自分の歳で考えてしまった。
リオも、一馬と穂高が随分離れているのに驚きを隠せなかった。
3人は他愛ない事を話しながら歩く。
同じ学校や、すれ違う人はやはり振り返ったりコソコソ話したりしていた。
「俺さ、自分で言うのも何だけどモテるんだよな」
「ほんと、自分で言うことじゃねーし」
リオの鋭いツッコミにもものともしない所を見ると2人は大分打ち解けているようだ。
「でもよ、それ以上に視線がすごいんだよな」
そう言って一馬がマリアを見下ろす。
えっと、マリアが言うと一馬は笑った。
「それでも声掛けられないって事は相当高嶺の花なんだな、マリアは」
呼び捨てが気になったがマリアは告白された事が無い為、分からなかった。
一馬の言うことにはリオも頷いていた。
「…そういえば…、一馬さんはお家どこなの?」
ずっと一緒に歩いてる一馬に尋ねるマリア。
リオも一馬を見上げる。
「もう少し行ったとこ……あぁ、
見えてきた、あれあれ。
黒い家の隣」
マリアとリオはそれを見てから顔を見合わせる。
黒い家は姉妹の家だった。
「お隣ーー??!」
リオの叫び声に一馬は耳を塞ぐ。
「急にデッケェ声出すんじゃ……え?
お隣?」
「あの黒いお家、私たちのお家なの…」
「へぇ!」
どこか嬉しそうな一馬。
「兄貴と2人暮らしだからさ!よろしくな
ご近所さん」
「えええっっ!!」
今度はマリアが叫ぶ。
「な、何だよ、マリアまで…」
兄貴という事は穂高。
あの穂高先生ともお隣さんというのを知ってマリアは何とも言えない複雑な感情になってしまった。
「まぁいいや。今夜、家に来いよ。
引越し祝いで料理振る舞ってやるからよ」
一馬は慣れたようにウインクして自宅へと入っていった。
「なんと言う偶然……。」
「ね、リオ。先生の家に行く前に話があるの。」
マリアが言うとリオは鋭い目付きをした。
「バレたな?」
「え」
「しかも血を貰っただろ?血色が少し良い」
「う」
「まさか狼の姿になったの見られたんじゃないだろうな」
「うう……」
リオはその場に崩れ落ちた。
「初日で転校だなんて……」
「それが、言わないでくれるって………」
「はぁ?ちょっと家で詳しく話して」
リオはマリアを家に押し込んで事情を聞き出す。
「はあぁあ?!
自分だけの血を飲む代わりに黙っててくれる!?
そんなの信用……。……いや、そいつさぁ…」
「ん?どうしたの…?」
リオはマリアを見つめる。
何て鈍感…そう思った。
「まだ完全には信じられないけど、今日奴らの家に行ってみても良いかもしれないな」
「そ、そうなの……?」
リオはマリアが自室に向かったのを見送り、四条穂高の事を考える。結構厄介な奴かもしれないな、と。